米食品医薬品局(FDA)は、進行メラノーマに対する新たな細胞療法であるAmtagvi(一般名lifileucel)を迅速承認した。Amtagviは、Iovance Biotherapeutics社が開発する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法であり、固形がんに対するTIL療法として米国で初めて承認された。
FDAバイオ医薬品評価研究センター(CBER)長のPeter Marks氏は、同局のニュースリリースにおいて、「切除不能または転移性のメラノーマは、死に至ることもある悪性度の高いがんである。Amtagviの承認は、治療選択肢が限られた患者に対する新規のT細胞免疫療法に向けた科学的・臨床的研究の取り組みの集大成といえる」と述べた。
この治療法は、患者自身の免疫細胞(T細胞)を使用して、がんと戦うというもの。治療にあたっては、医師が患者の腫瘍組織を手術で切除し、これを同社の細胞療法センターに送る。センターでは、腫瘍組織の中に浸潤しているT細胞を分離・培養する。この培養されたT細胞は、同じ患者の体内に1回限りの点滴で戻され、がんを攻撃して死滅させるという。
Amtagviは、切除不能または転移性のメラノーマで、抗PD-1抗体、およびBRAF V600変異陽性の場合はBRAF阻害剤またはBRAF阻害剤+MEK阻害剤による治療歴を有する成人患者に対して用いられる。その安全性と有効性は、国際多施設共同第2相臨床試験C-144-01の結果に基づいて確認された。Amtagviを推奨用量で投与された患者73人における奏効率は31.5%で、うち3人は完全奏効、20人は部分奏効を得られた。Amtagviの奏効した患者のうち、それぞれ56.5%、47.8%、43.5%は、6カ月、9カ月、12カ月の時点で腫瘍の進行や死亡を認めず、治療反応を維持していたと、FDAは説明している。
ただし、Amtagviには、遷延性の重度の血球減少症、重度の感染症、心臓・肺・腎臓の障害、治療関連の死亡の可能性について、枠囲み警告が付される予定である。また、患者はAmtagviを投与する前に、腫瘍組織を切除するための手術や7日間の強力な化学療法を受けなければならないため、それに関するリスクも考えられる。さらに、最もよく見られる副作用として、悪寒、発熱、疲労、頻脈、下痢、発疹、脱毛なども挙げられる。
Amtagviは迅速承認の枠組みにおいて承認された。その臨床的有効性を検証するため、確認試験が現在進められている。さらに、細胞治療をその他の治療困難ながんに対して用いることも有望な研究領域だと、Iovance Biotherapeutics社は指摘している。同社の暫定最高経営責任者兼社長であるFrederick Vogt氏は、「当社は固形がん患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応し、当社の新たな細胞療法をより多くのメラノーマおよびその他のがん種の患者に提供するために、開発努力を続けている」と述べている。(HealthDay News 2024年2月19日)
Source
https://www.healthday.com/health-news/cancer/fda-approves-new-treatment-for-advanced-melanoma