島津製作所は8月14~20日、大阪・関西万博の企画展「エンタングル・モーメント ―[量子・海・宇宙]×芸術」(内閣府・文部科学省主催)の「光子のふしぎと光量子センシング」展示において、京都大学大学院工学研究科の竹内繁樹教授の研究グループに協力し、量子赤外分光を用いた未来の計測技術に関するコンセプトモデルを展示する。会場で体験できる光子の驚くべき現象を、1965年にノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士のエッセイ「光子の裁判」に登場する“波乃光子”をモチーフとしたオリジナルキャラクター「ミツコ」が解説する。
同展示は、量子もつれ光子対を利用した三つの装置がその場で実際に動作することにより「量子もつれ」の不思議な世界を体験できるという、一般公開では国内初の試み。
電子や光子といった個々の量子の振るまいや、複数の量子間の相関(量子もつれ)を制御することで、従来の技術の限界を超える量子科学技術が注目されている。
同社は、2018年から竹内氏のグループと供に、文科省光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)の「量子もつれ光子対を利用した量子計測デバイスの研究」に取り組んでいる。
この研究では、量子もつれ光子対の発生過程の干渉を用いて、可視域の光源と検出器のみで、赤外域での分光が可能な「量子赤外吸収分光測定」を実施している。同技術が社会実装されると、医療やセキュリティ、環境モニタリングなどにおける様々な物質の鑑別同定が、小型で高性能な量子赤外分光装置により可能となる。
同社は、主に光源から可視と赤外域のもつれ光子対を発生させるための光学素子の製作に携わっている。
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