厚生労働省は、このほど各都道府県知事・保健所設置市長・特別区長あてに厚生労働省医政局長通知「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日医政発0815第21号)を発出した。医師でない無資格者による脱毛やアートメイクは違法であり、看護師のみによる施術や医師によるメール・チャットのみによる診療なども違法となるおそれがあるなどと美容医療についての違法かどうかの判断基準を示した。厚生労働省ホームページの27日付け新着情報に掲載された。
自由診療として実施されている美容医療については、これまで「不適切な事例に対する対応や、質の高い医療機関が患者に選ばれるための取組等」として、厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」で検討が行われ、報告書(令和6年11月22日)もまとめられている。しかし、不適切事例が「医師法等に違反する行為か否かの判断基準や、どのような場合に保健所が立入検査できるのか明確ではないことから、効果的な指導や取締りが困難な事例があることなども指摘されている」として今回の通知発出となった。
通知では、無資格者がいわゆる「カウンセラー」として患者の希望を聞き取り、治療法を提案・決定する行為は、医学的判断を伴う診断とみなされ、医師法第17条違反に該当すると明記。脱毛、アートメイク、HIFU(高密度焦点式超音波)などの施術も、医師免許を持たない者が業として行えば違法となるとしている。
また、看護師等(保健師・助産師・看護師・准看護師)であっても医師の指示なしに診察や治療を行うことは保助看法第37条違反となる可能性があるとしている。さらに、医師がこうした「違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない」としている。
さらに、医師であってもメールやチャットのみで診断・処方を行う行為は、医師法第20条に違反するおそれがあるとし、リアルタイムの視覚・聴覚情報を含む診察が必要としている。
診療録の作成・保存は、医師法第24条に基づき、記載事項を満たした診療録を遅滞なく作成し、5年間保存する必要があるとされているが、これは美容医療に対しても適用され、違反した場合は罰金の対象となると示されている。
医療広告に関しても、虚偽・誇大・比較優良広告、体験談の掲載、術前術後の写真のみの提示などが禁止されており、違反が確認された場合は立入検査や行政処分の対象となるとしている。
保健所は、違法行為が疑われる場合、医療法第25条に基づき立入検査を実施できるほか、都道府県知事による是正命令や業務停止命令、開設許可の取消しも可能である。
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