順天堂大学医学部医学教育研究室の研究グループはこのほど、医学生が臨床実習に進むために合格が必要な客観的臨床能力試験OSCE(Objective Structured Clinical Examination)で、評価者が装着する首掛け型のウェアラブルカメラの映像を評価に活用することが可能かを検証した。その結果、同ウェアラブルカメラの映像では、固定カメラよりも多くの評価項目が「評価可能」と判断され、特に細かな手技の確認に役立つ可能性が示された。一方、試験中に評価者がその場で行う評価と、録画映像を用いて後日行う再評価の一致度には評価者間でばらつきがみられ、実用化に向けては装着方法や録画条件の標準化が重要なことも示された。
今回の研究では、12誘導心電図の電極装着を課題とした模擬OSCEを実施した。臨床教育の経験を有する9人の医師が評価者として参加し、試験中にその場で評価を実施した。その際、評価者が装着した同ウェアラブルカメラと、頭側と足側に設置した固定カメラで試験の様子を録画した。
その後、当日の記憶による影響をできるだけ避けるため、約1カ月の間隔をおいて、評価者に首掛け型カメラで録画した同じ模擬OSCEの映像を確認してもらい、1カ月後に、当日と同じ評価表を用いて受験者の手技を再評価した。
「試験中にその場で行った評価」と「録画映像を用いた後日の再評価」の一致度を解析すると、一致度には評価者間でばらつきがみられた。一方で、固定カメラの映像と同ウェアラブルカメラの映像を比較すると、同ウェアラブルカメラの映像では、固定カメラよりも多くの評価項目が確認できると判定された。特に、心電図の電極装着位置など、手元の細かな操作を確認する場面で役立つ可能性が示された。
これらの結果から、同ウェアラブルカメラは、固定カメラでは確認しにくい手元の細かな操作を補完し、固定カメラと併用することで、OSCEにおける映像記録や試験後の確認をより充実させる可能性が示された。一方、安定して活用するためには、同ウェアラブルカメラの装着方法や録画条件を標準化することが重要であることも明らかになった。
同研究は、単一課題・少人数で実施したパイロット・スタディだが、同ウェアラブルカメラを活用することで、OSCEにおける評価記録の質向上や、限られた人的資源の中での評価支援につながる可能性が示された。今後は、対象者数を増やした検証、多施設での評価、異なるOSCE課題への適用、装着方法や録画条件の標準化を進めることで、教育現場でより実用的に活用できる仕組みを構築していく予定にしている。
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