ビライトバイオ株式会社は、小児期から若年成人期に発症する遺伝性網膜疾患「スタルガルト病」の認知向上と、早期受診・適切な診断につながる環境づくりを目的に、「スタルガルト病啓発事務局」を7月31日に設立した。患者・家族、医療従事者、一般社会に向け、症状や診断上の課題、治療研究の動向などを発信してゆく。
スタルガルト病は、国の指定難病「黄斑ジストロフィ」に含まれる希少な眼疾患。多くはABCA4遺伝子の変異により発症し、中心視野障害や色覚異常などを伴う。文字を読む、人の顔を見分けるといった日常の「見ること」が次第に難しくなる。初期には近視や原因不明の視力低下と判断されることがあり、他の眼疾患との判別も難しいため、診断までに時間を要する場合がある。
世界では潜在患者を含め、8000人~1万1000人に1人が罹患していると推定され、国内も同程度の罹患率で、患者数は約1万人と推定されている。一方、実際に把握されている患者は推定数の1~2割程度にとどまり、診断にさえていない患者が多いことが課題となっている。
現時点で確立された根治療法や承認済み治療薬はないが、日本を含む複数の国・地域で対症・進行抑制を目的とした治療研究が進められている。
啓発事務局は、医療従事者には症状、診断、治療研究開発などの情報を、患者には診断・治療へのアクセスやロービジョンケアの情報を提供する。プレスリリースや記者勉強会を通じて発信するほか、専門医療機関への紹介体制の整備など、適切な診療につながる環境づくりを支援する。また、Rare Disease Day=世界希少・難治性疾患の日(2月最終日)や子どもの目の日(6月10日)、世界視力デー(10月第2木曜日)などと連携した情報発信にも取り組む。
啓発事務局設立にあたり、三重大学医学部眼科学講座教授の近藤峰生氏は、「スタルガルト病について正しい情報が広く共有され、患者さん、ご家族、医療従事者、そして社会全体の理解が深まることが大切。病気を知る人が増えれば、適切な医療につながる機会が広がるだけでなく、学校や職場、地域での理解や支えにもつながる」とコメントを寄せている。
また、「みらい~遺伝性網膜ジストロフィ(IRD)患者家族会」は、「スタルガルト病の患者と家族は、視力が低下していく恐怖を抱える中、専門医や正しい情報に辿り着けず、適切な学習環境や進路の選択、将来の就労への懸念から、常に暗闇の中にいるような不安を感じている。この度の疾患啓発事務局設立によってスタルガルト病への理解が社会に広く浸透し、全国どこで暮らしていても早期に適切な診断や治療・支援が受けられる未来の実現に繋がることを祈っている」とコメントを寄せている。
スタルガルト(Stargardt)病の名前:この病気を最初に詳しく報告したドイツの眼科医カール・スタルガルト(Karl Stargardt、1875~1927年)に由来する。
ロービジョン(Low Vision):眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても十分に視力や視機能が改善せず、日常生活や社会生活に支障がある状態をいう。見えないわけではないが、見えにくい状態。近年、注目度が高まっている。
ビライトバイオ株式会社:米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くBelite Bio, Inc.(Nasdaqでの識別シンボル=ティッカーシンボルは「BLTE」)の日本法人として、2025年11月に設立された。「Treat the Untreatable」というミッションのもと、希少な遺伝性網膜疾患であるスタルガルト病(STGD1)や、地図状萎縮(GA/萎縮型加齢黄斑変性)など、有効な治療手段が確立されていない眼疾患領域における新薬開発を推進している。本社所在地は東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー16階。業種は第一種医薬品製造販売業。
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