米国研究製薬工業協会(PhRMA)の梅田一郎在日執行委員長(ファイザー代表取締役社長)は、就任後初めて都内で記者会見し、政府の新成長戦略の重点分野に「健康」が位置づけられたことを「大変意義がある」とした上で、「日本は世界一の長寿国だが、国民の健康水準が世界一高いとは言えない」と指摘。世界で最も健康な国の実現に向け、製薬産業として投資を進めていく考えを表明した。
梅田氏は、新薬創出加算の試行導入が決まった新薬価制度を「嬉しく受け止めている」と歓迎し、新薬上市の加速に期待感を示した。一方で、「加算の適用範囲はかなり拡大したが、加算額は新薬がもたらす恩恵を十分適正に評価したものにはなっていない」と課題を挙げ、加算の増額を要望した。
その上で、「薬価政策の大きな転換が経済活性化の原動力になる」と述べ、政府の新成長戦略の重点分野に「健康」が位置づけられたことを評価した。ただ、「高齢化が進行する日本で、国民の健康問題は政府の最優先事項だが、必ずしも健康水準は高いとは言えない」と指摘。製薬産業として、世界で最も健康な国を目指し、投資を進めていく考えを表明した。
また、新薬の長期投与制限に言及。発売1年以内の新医薬品は、依然として14日間の処方制限があることに疑問を投げかけ、「こうしたルールは一部の薬剤には適切かもしれないが、全ての薬剤に一律に適応する科学的根拠はないのではないか」と問題視。「新薬の処方制限は、服薬コンプライアンスの低下や新薬アクセスを低下させる原因」と改善を求めた。
さらに、予防医療をめぐって「国家規模のワクチンプログラムの策定と実施が求められている」と訴え、その具体化が10年度の大きな仕事になるとの認識を示した。