
握手する4大学の学長。左から乾氏(京都薬大)、江島氏(京都工繊大)、吉川氏(京都府立医大)、渡辺氏(京都府立大)
京都薬科大学、京都府立医科大学など4大学は25日、ヘルスサイエンス系の教育と研究について連携する協定書を締結した。同日付で「京都4大学連携機構」を設置し、京都府立医大内に「京都ヘルスサイエンス総合研究センター」を発足させた。各大学の強みを持ち寄り、創薬など4分野について共同研究を進めるほか、大学院教育でも連携を深める。
提携したのは京都薬大、京都府立医大、京都工芸繊維大学、京都府立大学の4大学。
京都府立医大キャンパスで行われた調印式後の記者会見で、京都工繊大の江島義道学長は、「協定書は、ヘルスサイエンス系の新しい教育研究分野のシーズを育て、発展させることを目的として締結した。協定書締結を機に、それぞれの大学が持つ個性を発揮しつつ、連携を一層推進して、ヘルスサイエンスに関する新しい学問領域を切り開き、教育研究活動を充実させたい」と語った。
「京都4大学連携機構」の機構長には、江島氏が就いた。教育面では、機構に教育交流協議会を置き、大学院教育を中心に各大学の連携を深める。
研究面では「京都ヘルスサイエンス総合研究センター」を京都府立医大に設置した。専用施設は設けないが、[1]発症・治癒機構解明[2]医療計測・診断[3]創薬[4]健康の維持・増進――の四つの研究グループを置き、共同研究を推進する。
センター長に就いた京都府立医大の吉川敏一学長は、公的な研究費の獲得や、産業界との共同研究を実施する上で、「4大学で取り組むメリットが出てくる。資金獲得に4大学が共同して当たれる」と強調した。
また、既に各大学間での共同研究はいくつか行われており、それをセンターが公認する形で推進することにもメリットがあると説明。このほか、「四つの大学が連携することで初めて行えるような共同研究も、将来的には目指している」と語った。
各研究グループごとに、グループ長の大学から2人、他の3大学から1人ずつ計5人のメンバーを選出。各大学が持つシーズや強みを出し合い、9月以降月に数回のペースでグループごとに討議を重ね、具体的な共同研究のテーマを早急に決める計画だ。グループごとに5~10のテーマを見込んでいる。創薬研究グループの長は京都薬大が務める。
京都薬大の乾賢一学長は、6年制教育の上の大学院設置を現在申請中であるとし、「私たちは、質の高い薬剤師に加えて、研究能力を有する薬剤師の養成も目指している。大学院での研究も進めていきたい。今回の4大学連携は私たちにとって渡りに船」と意義を解説。有機化学を中心とした合成化学、基礎薬学、DDSなどの研究分野で連携に貢献できると見通しを語った。
4大学は、2008年度から3年間、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」として連携した実績がある。それを基盤に、より具体的な連携を新たに形作った。