小児加算を3成分に適用
厚生労働省は12日付で、新薬14成分18品目を薬価収載する。過活動膀胱治療薬「ベタニス」、皮膚T細胞性リンパ腫治療薬「ゾリンザ」など新規性の高い製品が登場する。抗てんかん薬「ガバペン」、抗ヒスタミン薬「アレロック」、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「ヒュミラ」に小児加算を適用するほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「オンブレス」には15%の有用性加算を上乗せする。7日に中央社会保険医療協議会が了承した。
▽ガバペンシロップ5%(ファイザー)=ガバペンチンを有効成分とする抗てんかん薬で、類似薬効比較方式Iにより算定した。既存薬で十分な効果が認められない部分発作を有する小児を対象とした国内臨床試験で有効性が示されたことを評価して、小児加算10%を付けた。
▽ネキシウムカプセル10mg、同20mg(アストラゼネカ)=エソメプラゾールマグネシウム水和物を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤で、類似薬効比較方式IIにより算定した。オメプラゾールの光学分割薬だが、類薬でより薬価の低いラベプラゾール(エーザイのパリエット)を比較薬とした。
▽ベタニス錠25mg、同50mg(アステラス製薬)=ミラベグロンを有効成分とする過活動膀胱に対する選択的β3アドレナリン受容体作動薬で、類似薬効比較方式Iにより算定した。
▽トラゼンタ錠5mg(日本ベーリンガーインゲルハイム)=リナグリプチンを有効成分とするDPP‐4阻害薬で、類似薬効比較方式Iにより算定した。
▽リオベル配合錠LD、同HD(武田薬品工業)=インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン塩酸塩とDPP‐4阻害薬のアログリプチン安息香酸塩の配合剤で、類似薬効比較方式Iにより算定した。内用配合剤の特例ルールを適用して、既存薬の合計1日薬価の0・8倍とした。新薬の14日処方制限の対象外とする。
▽リカルボン錠50mg(小野薬品工業)/ボノテオ錠50mg(アステラス製薬)=ミノドロン酸水和物を有効成分とする骨粗鬆症治療薬で、規格間調整により算定した。従来の週1回から4週に1回へ投与回数を減少させる医療上の有用性を評価し、市場性加算IIとして5%を付けた。
▽ゾリンザカプセル100mg(MSD)=ボリノスタットを有効成分とする皮膚T細胞性リンパ腫に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害薬で、原価計算方式により算定した。市場規模はピーク時の2年目で760人、16億円の見込み。
COPD治療薬に高い評価
▽アレロック顆粒0・5%(協和発酵キリン)=オロパタジン塩酸塩を有効成分とするアレルギー疾患治療薬で、類似薬効比較方式Iにより算定した。国内臨床試験を実施して、従来は使えなかった2~6歳の幼児に適応を拡大したことを評価し、小児加算として5%を付けた。
▽コアベータ静脈用12・5mg(小野薬品工業)=ランジオロール塩酸塩を有効成分とするコンピュータ断層撮影における冠動脈描出能改善薬で、原価計算方式により算定した。市場規模はピーク時の4年目で10万人、2・7億円の見込み。
▽シンポニー皮下注50mgシリンジ(ヤンセンファーマ)=ゴリムマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする関節リウマチに対するヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で、類似薬効比較方式Iにより算定した。
▽ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0・4mL(アボットジャパン)=アダリムマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とするヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で、規格間調整により算定した。若年性特発性関節炎に使えるようになったことを評価し、小児加算として5%を付けた。
▽キュビシン静注用350mg(MSD)=ダプトマイシンを有効成分とする抗生物質で、類似薬効比較方式Iにより算定した。国内臨床試験を実施してMRSA感染症治療薬として、国内で初めて「びらん・潰瘍の二次感染」の適応を取得したことを評価し、有用性加算IIとして5%を付けた。
▽ジスロマック点滴静注用500mg(ファイザー)=アジスロマイシン水和物を有効成分とする抗生物質で、類似薬効比較方式Iにより算定した。
▽オンブレス吸入用カプセル150μg(ノバルティスファーマ)=インダカテロールマレイン酸塩を有効成分とするCOPD治療薬で、類似薬効比較方式Iにより算定した。類薬に対する優越性と、1日1回投与で済む利便性を評価し、有用性加算IIとして15%を付けた。