日本薬剤師会は定時総会を6月28、29の両日、東京都内で開く。2月末の臨時総会で、次期会長候補者に山本信夫東京都薬剤師会会長を選出、会館建設予定地のほかに定期借地権付きの隣接地借地を拒否した上で今年度予算案が決定したのがはるか昔に感じる。しかし、新執行部が正式に決定するまで、まだ1カ月以上もある。
一部からは長すぎるレイムダック、という声も聞こえてくる。が、定款上で決まっている以上、致し方ない。現執行部も総会の総意による次期会長・執行部の交代要請を受け、3月早々には“事業仕分け”を行い、「今後の会務運営に関する件」を理事会決定、事業を区分け、現執行部での実施、先送り等の事業引き継ぎに向けた方向性をまとめた。
6月末までに実施する事業等として、会員証の発行、120周年日薬史の発行、薬局のグランドデザイン2014の策定・公表など7項目が挙がっている。概ね成果物をまとめるといったところだ。
また、次期執行部へ特に引き継ぎを要する事業等としては、2014年度調剤報酬改定の検証・次期改定への準備、薬局薬剤師業務の「見える化」、予算案が頓挫した「日薬会館建設」問題、そして理事選任方法や時期の見直しの検討など、14項目にも上る。
まさか、6月末の定時総会で次期会長候補者が、否決されるような無様な状況が起こるとは思えないが、「次期執行部」といっても現制度では次期会長1人のみ。とても現在の難題・事業を継承することは困難だ。少なくとも新年度が始まった4月からの3カ月間、ほとんど身動きができない状況に陥っている。
医薬分業事業等積立資産から所要額の約7億7000万円を取り崩し、東京都港区麻布台の約90坪の会館建設用地を取得したのは、昨年3月に遡る。土地取得から既に1年以上も経過。その間、少なくとも「四谷」の賃料(年間8000万円)の資産化はなされていない。「取得した土地が建設するには狭かった」として、当初計画・趣旨とは異なる「定借」を持ち出すなど、「後付け」が会館建設問題を長引かせた結果だ。
春の総会終了直後、現執行部が定款変更が必要な「理事選任方法および時期の見直しの検討」を掲げたことは評価できる。確かに、公益社団法人として初の会長候補者の改選が行われたとはいえ、改選後早急に執行部が変わらなければ、このような長期にわたる事業遂行の停滞が起こることは分かっていたはず。今ごろになって、あたふたしているようにも映る。
次の役員改選は2年後だが、早々に会員の不安を解消すべく、事業年度と役員任期年度の一致、あるいはスムーズに事業継承されるシステムを確立することこそ、公益法人化を成し遂げた現執行部の最大の責務ではなかろうか。