主要医薬品卸の決算が出揃った(本号7面参照)。連結売上高はメディパルHDが2兆9500億円、アルフレッサHDが2兆5000億円、スズケンが2兆円、東邦HDが1兆2000億円、バイタルケーエスケーHDが5500億円超となった。医療用医薬品等卸売事業関連の売上高は、それぞれ2兆1000億円、2兆3000億円、1兆9000億円、1兆1000億円超、5500億円で、単純合算すると7兆9500億円、ほぼ8兆円に達し、日本の医療用医薬品流通のほとんどを担っている。
これだけの規模を持ちながら、各社の利益はというと、他の流通業と比べると何とも心許ない現状だ。奈落の底にいた数年前には、小数点以下を四捨五入するとゼロになるという悲惨な営業利益率だった。各社と業界はここで奮起して、他にない特異な商習慣の改善・是正を目指した流通改善(改革)と、社会インフラの使命を全うする原資になる自社の適正な利益確保という難題に取り組み、一定の評価を得るに至った。
業界団体である日本医薬品卸売業連合会は、昨年、正副会長がほぼ一新されて大きく変わった。「新しい時代には新しい体制が必要」という内匠屋理氏(メディセオ名誉会長)の言葉を借りれば、新しい時代に対応する新しい、若干若返った次世代の体制に生まれ変わった。
以前の正副会長は、業界を代表する大手企業の会長職に就いている重鎮が多く顔を揃えていたが、今は現業の最高責任者である各社トップが就任している。これは、業界での課題に対して、一体的かつ即座に対処できることを意味しており、この1年で実際にその効果が明確に見て取れたことに異論を挟む関係者はいないだろう。
薬卸連にかつて、これほど強力な布陣はなかったのではないか。今年1月には日本薬業政治連盟の会長が熊倉貞武氏(メディパル会長)から鹿目広行氏(アルフレッサ社長)に代わり、熊倉氏は名誉会長としてバックアップする体制を整え、また今月15日には、東京医薬品卸業協会でも世代交代が行われ、内匠屋氏から長福恭弘氏(メディセオ社長)にバトンが託された。
これまでの流通改革を引き続いて定着させる取り組みと、消費税の対応、未妥結減算ルールの対応、薬価の毎年改定と、国家レベルの制度改正に翻弄されることになりかねない課題は山積している。
長らく業界を導いてきた重鎮の方々の大きな功績は改めて言うまでもないが、各社が成長を加速させるために独自のコアビジネスを位置づけて展開しつつ、業界全体の課題にも一体となって適切に対処するには世代交代が必然的に求められていたのであろう。
医療機関、メーカー、そして国民から、本当に必要な存在として認められる医薬品卸に変貌する大きな転換期を迎えたと認識していることを確信する。