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日本の優れた医薬品流通機能を未来に届けるための提言~持続可能性と負担の公平性の確保~

2015年08月12日 (水)

 [5]未妥結減算ルールの見直し

 実質的に長期未妥結が多かったのは公立・公的等の一部の病院と大規模チェーン調剤薬局である。病院における未妥結減算対象先が200床以上で区分されたのと同様、調剤薬局においても店舗数で対象施設を区分することを検討していただきたい。提出書類についても、詳細な納入データについては地方厚生局から求めがあった場合に準備して提出するように変更していただきたい。

 また前述のように、メーカーと卸の双方にとって納得性のある最終仕切価格を形成するためには相応の期間を要する。適正な市場実勢価格を形成するためには、その上でさらに顧客との価格交渉において双方に十分な納得感のある納入価格になるまで価格交渉を継続し合意しなければならないことから考えれば、毎年改定を導入した上で薬価基準制度を維持し得る適正な価格形成を行うことは極めて難しいと考える。十分な交渉期間の確保と正確な市場実勢価格の把握を両立させるためには、未妥結減算制度の妥結期限を薬価改定の翌年3月末とした上で、契約期間を2年間と義務づけることも一案である。

 [6]地域包括ケアシステムを見据えた麻薬・医療材料等の流通改善

 医療依存度の高い患者が病院から在宅に移ることで医療材料の使用量増加が見込まれる。これらの商品の多くは保険償還価格よりも市場実勢価格が高い不採算品目であり、安定供給のための流通が成り立っていない。エッセンシャル・ドラッグ同様、償還価格そのものを引き上げるか、調整幅の拡大が必要である。

 麻薬については、県境を越える流通、分割販売、24時間365日対応、緊急対応等、在宅医療からの期待を実現するための法整備をお願いしたい。

 精神疾患が5疾病に入ったことの対応も急がれている。老人保健施設では医薬品費は包括されていて施設の持ち出しとなるため、月額の医薬品費の上限を決めているところも多い。例えば、認知症の患者は先発医薬品を使用していると費用がかさみ施設入居を断られるケースも出ている。

 在宅患者には経腸成分栄養剤や高カロリードリンクの必要性が高い。しかしその処方量が多く、患者が自ら持って帰れない現状もある。

 上述の事例はほんの一部であるが、地域完結型となれば、患者・患者家族を取り巻く医療・介護従事者に合わせた物流が大変重要となる。医薬品卸の地域に根ざした活動により築いてきた医療機関・薬局との関係性を生かすことにより、医薬品卸の果たす役割は非常に大きいと考える。



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