北里研究所と大日本住友製薬は、薬剤耐性(AMR)菌感染症治療薬の創製を目的とした共同研究契約を締結した。主に日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究開発費を研究費用に当て、北里大学内の研究施設で2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の創薬グループと大日本住友から派遣された研究員の合計30人以上のチームで、今月から10年の期間で共同研究を実施する計画だ。少なくとも一つの化合物を5年以内に臨床入りさせ、共同研究期間内の承認取得を目指す。大村氏は24日、都内で開催した会見で、「両者の特色が十分生かされるように気配りをして、抗感染症薬の開発がスムーズに行われるようコーディネートすることに加え、AMEDの方々を加えた産官学の取りまとめにも気を配っていきたい」とオールジャパンによる新薬創出に意欲を示した。
北里研究所は、抗毒素を発見し、血清療法を確立した北里柴三郎氏によって設立されて以降、国内の感染症研究をリードしており、大村氏が率いる創薬グループでは、抗寄生虫薬「エバーメクチン」など六つの医薬品を創製した実績を持つ。一方、大日本住友は、自社品のカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」をグローバル売上1000億円のブロックバスター製品に成長させた実績を持ち、グローバルの開発・販売体制を有している。両者の強みを生かした共同研究により、従来にはない抗感染症薬の創出を目指す。
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