アステラス製薬は、ケニアで多くの女性が罹患する疾患「産科フィスチュラ」の撲滅を目指し、グローバルヘルスに向けた取り組みを推進している。2014年5月から3年間で、米カリフォルニアを拠点とする非営利団体「フィスチュラ基金」が創設したプログラム「Action on fistula」に150万ユーロを投資し、さらに昨年5月に始まった第2期プログラムでも資金提供を継続し、75万ユーロの追加投資を決定した。同社医療政策部CSR&グローバルヘルスグループの堂本郁也氏は、「日本でも産科フィスチュラに対する認知を高めていきたい」と強調。その一方で、今後のCSR活動に向けては、製薬企業が事業の選択と集中を進めることを背景に、「リソースに限りがある中、CSR活動にどう投資していけばいいか、真剣に議論を行っている」と述べ、製薬企業のコアビジネスとの関連性や、CSR活動から創出される価値から検討していく重要性も指摘した。
CSRで「仕掛け人になる」
産科フィスチュラは、救急医療を利用できない状況下で、長期にわたる分娩によって誘発される膣と直腸、もしくは膀胱との間に形成される瘻孔であり、大便失禁や尿失禁を誘発する。開発途上国においては、適切な分娩介入を行うための医療にアクセスできず、さらに身体的に未成熟な状態で出産する女性が多いため、未だ数多く見られている。産科フィスチュラ患者は、異臭が絶えないことによる深刻な差別に悩まされているという問題もある。
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