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◆サリドマイドの再承認が来週、いよいよ審議される。厚生労働省は過去の薬害を踏まえ、使用できる医療機関を日本血液学会の研修施設に限定し、使用者の情報も全て事前登録するなど、過去に例のない厳しい管理体制を敷く構えだ
◆1957年に西ドイツで催眠鎮静剤として開発されたサリドマイドは、妊娠中の女性が使うと、胎児の手足に障害が出るなどの薬害を引き起こした。西ドイツでは奇形児出産の副作用が報告された後、即座に製品回収が行われたが、日本では約1年回収が遅れた上、作業も徹底しなかったため、被害が拡大した
◆一度は医療現場から姿を消したサリドマイドだが、海外ではハンセン病をはじめ、多発性骨髄腫に対する薬効の再評価が進んでいる。再承認の動きもあり、日本でも要望が多く寄せられていた
◆とはいっても、サリドマイドには、胎児奇形という重大な薬害事件を引き起こした暗い影がつきまとう。安易な使用により、取り返しのつかないことにならないよう、慎重を期した対策が求められるのは当然だが、薬剤師にも、安全使用の一端を担うという気概を持ってもらいたい。