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【乾癬】T細胞を標的とした治療が進展

2008年10月14日 (火)

 サイトカインを標的とした乾癬の治療研究が進んできた。乾癬悪化の要因と考えられるTh17細胞の活性化を阻害する抗体製剤やTNF-α阻害剤の開発も進められており、臨床研究では乾癬の診断指標であるPACIスコアを改善する結果が得られている。第23回日本乾癬学会では、その現状が朝比奈昭彦氏(相模原病院皮膚科)から報告された。

 乾癬の発症原因は、未だ明確には解明されていないものの、T細胞の関与が示唆されており、T細胞免疫系を標的とした治療法の研究が進められている。

 その一つが、細胞接着因子のLFA-1(CD11a)を標的とした抗CD11a抗体の「エファリズマブ」。T細胞の活性化には、抗原提示細胞(APC)との接着が必須で、LFA-1はAPCに発現するICAM-1と結合する。「エファリズマブ」はその結合を抑えて、共刺激経路の伝達を抑制するほか、T細胞が血管内皮細胞に発現するICAM-1を介して病巣部に遊走するのを阻害する。

 もう一つが、抗原提示細胞に発現するLFA-3とIgGの融合蛋白質である「アレファセプト」だ。LFA-3はT細胞に発現するCD2のリガンドで、アレファセプトはCD2/LFA-3による接着を抑制すると共に、メモリーT細胞を除去することで、症状再燃の抑制が期待されていた。

 ただ、12週間後のPACIスコア75%以上を達成した患者が、エファリズマブでは3割程度、アレファセプトでは21%と、作用が弱いことが確認されている。特に、エファリズマブでは、投与を中止した場合、再発が多く、リバウンドしやすいことが示唆されていた。

 一方、Th2系サイトカインの使用も理論的には可能だとされており、IL‐4とIL‐10を投与することで、皮膚症状を改善することが可能ではないかと検討されてきたが、十分な有効性がないことや、治療中に皮疹が再燃することなどから、臨床での使用は難しいのが現状のようだ。

 そこで、治療標的として注目されているのがTh17細胞。IL-12、IL-23が樹状細胞から分泌されると、上皮細胞などを活性化させるTh17細胞が増加。増加したTh17細胞から産生されるIL-17が、サイトカインやケモカインのソースとしての役割などを果たすケラチノサイトに作用することで、乾癬症状を増悪させる。乾癬の病態には、Th1系よりもTh17細胞が大きく関与しているとみられている。

 そのため、Th17細胞優位のバランスを是正することを目標に、Th17細胞の誘導に関わっているIL‐12とIL‐23の共通サブユニットであるp40を標的として、抗体製剤「ウステキヌマブ」(CNTO1275)の開発が進められている。 

 ウステキヌマブは、投与間隔が3カ月に1回と非常に長いものの、PACIスコア75%以上を達成した患者が70080%、PACIスコア90%以上を達成した患者が約50%と、高い有効性を発揮する。中和抗体の発生率は投与開始後72週目で5.1%と低く、長期投与での作用減弱が起こりにくい成績が、治験で得られている。欧米では申請段階、日本では開発段階にある。

 ウステキヌマブと同様の作用機序を持つ薬剤がABT874だ。PIIの結果では、PACIスコア75%以上を達成している。

 また、Th1細胞系を標的とした治療薬としては、既に関節リウマチで使用されているTNF-αを標的とした生物学的製剤の「インフリキシマブ」(製品名レミケード)と「アダリムマブ」(ヒューミラ)が、乾癬の治療薬として欧米で使用されており、国内でも承認申請段階にある。

 海外での臨床成績によると、インフリキシマブを点滴静注した結果、73082%の患者でPASIスコア75%以上を達成したほか、80090%の患者で即効性が確認されている。膿胞性乾癬についても、1回の点滴静注で膿胞の進展が止まったという。

 21カ月にわたる長期間投与成績では、PACIスコア75%以上を達成した患者が70080%であったほか、50%以上の患者がPASIスコア90%以上を達成している。

 ただ、治験では約25%の患者で中和抗体が発生することが確認され、長期間投与によって耐性が発生することが示唆された。実際、耐性が発生した患者の血中を調べたところ、中和抗体の陽性率が高いことが確認されている。朝比奈氏は、「インフリキシマブは重症患者に早期に使うべきではないか」と述べ、短期間での使用が耐性も起こらず、有効な治療を行うことができるとの見方を示した。

 アダリムマブの海外の臨床データでは、2週間に1回皮下注射することで、64080%の患者でPASIスコア75%以上、24036%の患者でPASIスコア100%を達成できることが明らかとなった。乾癬性関節炎に対する有効性も確認された。

 アダリムマブの国内臨床試験の結果からは、57.9081.0%の患者でPASIスコア75%以上を達成したほか、継続投与によって効果が減弱した症例がほとんど認められなかったという。

 一方、抗TNF-α療法の副作用として注意が必要なのが感染症。特に、日本の場合、結核患者が多いため、陳旧性結核の再活性化が懸念されている。朝比奈氏は「TNF-αが細胞性免疫に関わるため、免疫機能の低下は見過ごすことができない。そこで、事前にスクリーニングを行い、陽性の場合にはイソニアジドを予防投与する必要がある」としている。また、逆説的な副作用として、乾癬を悪化させたり、乾癬患者以外でも乾癬様症状を引き起こすことが確認されており、慎重に使用する必要がある。

 朝比奈氏は、「生物学的製剤を使用するためには、製剤の使い分けや用量設定、投薬中止のタイミング、他の全身療法との併用の可否などを考慮しなければならない。来年には生物学的製剤が使用できると考えられるので、よりよい使用法などを検討していく必要がある」と指摘した。

 現在、乾癬の治療では第一選択薬としてステロイドやビタミンD3の外用剤、第二選択薬としてサイクロスポリンやエトレチナートが使用されている。今後、日本リウマチ学会や海外のガイドラインを参考にし、日本での乾癬治療のガイドラインを構築したい考えだ。




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