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2008年その他の主なニュース

2008年12月26日 (金)

 新たな医療提供体制がスタート、また薬業界では新医薬品販売制度の準備が進められる一方、国際共同治験の充実が叫ばれるなど、今まさに医・薬業界は転換期にある。10大ニュース以外にも薬業界にとって重要な話題が数多くあった。その中から、主なものをピックアップし、今年1年を振り返ってみたい。

薬学教育6年制で新国試の検討開始

 薬学教育6年制がスタートし、2012年に新教育制度下での薬剤師国家試験が開始されることに伴い、薬剤師国試のあり方や具体的内容の検討が行われている。「薬剤師国家試験出題制度検討会」は6月に新国試制度に関する報告書をまとめた。

 報告書では、出題区分を、必須問題、一般問題(薬学理論問題、薬学実践問題)に分類するほか、現行240問の出題数を345問と大幅に増やすこと、合格基準は原則65%を踏襲し、各試験区分ごとに水準を設けることなどを盛り込んだ。

 こうした動きを受け、医道審議会薬剤師分科会の初会合が11月に開かれ、検討会報告書を踏まえ、早急に同分科会で新国試制度についての審議を開始することを確認した。初会合では新制度下で、薬の適正使用や副作用の抑制など、国民の期待に応えることのできる薬剤師育成を目指してほしいなどの意見があった。

 なお、同分科会では、行政処分を受けた薬剤師の再教育についても検討していく。

iPS細胞研究が活発化‐産官学連携で取り組み

 昨年、世界に先駆けて京都大学の山中伸弥教授が発表したiPS細胞に関する研究に、今年は多くの国家的研究資金が投じられた。中でも、11月に健康研究推進会議が、最先端の再生医療や医薬品・医療機器の開発・実用化を目指す「先端医療開発特区(スーパー特区)」として24プロジェクトを採択。その中にiPS細胞関連は2プロジェクト含まれている。

 スーパー特区は、研究資金の弾力的運用,開発段階からの規制機関との相談等を試行的に行う「革新的技術特区」創設を目指した取り組みの一つ。iPS細胞関連で採択されたのは、▽iPS細胞医療応用加速化プロジェクト(京都大学)▽ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築(医薬基盤研究所)――の2件。iPS細胞の臨床応用に向け、産学官連携で取り組んでいく。

日中韓で初の局長級会合‐民族差の共同研究に合意

 日本・中国・韓国の治験データ相互利用に向けた検討を進める目的で、初めて3カ国の医薬品規制の局長級会合が4月14日、開かれた。3カ国が連携して民族差に関する共同研究プロジェクトに取り組むことや、規制に関する情報交換を行っていくことの合意が得られた。今後年1回、局長級会談を開催していく。ドラッグラグ解消と開発の迅速化を目指し、民族的に近いとされる東アジア地域内での連携に向けて第一歩が踏み出されたといえる。

 また、東アジアレギュラトリーシンポジウムも4月14、15日、東アジア地域を中心に約10カ国から当初見込みを上回る700人が参加して開かれた。シンポでは各国のGMPや市販後安全対策、開発や承認審査について状況が報告され、今後のあり方について積極的な意見が交わされた。

薬剤師の職能拡大へ‐日病薬が特別委設置

 医師不足を背景に、医師の負担軽減を目的にしたスキルミックスの検討が急速に進んでおり、病院薬剤師の職能拡大を図るために、日本病院薬剤師会は「新しい業務展開のための特別委員会」を設け、具体的な方策立案を急いでいる。

 4月に日病薬の新会長となった堀内龍也氏は、就任当初から、医療安全の立場から、新たな薬剤師業務に取り組む病院薬剤師像を構築する方針を示した。特別委員会では、実績に基づいた議論を原則とし、先進的な具体例の収集・調査を行っている。堀内氏は、「今年度中にも病院薬剤師のあり方が大きく変わってくる可能性がある」との見方を示している。

 スキルミックス拡大が図られようとしている中、職種間競争の時代を迎えており、職能を拡大し、薬剤師の存在意義を積極的にアピールしていくことが重要になっている。

GEメーカー最大のテバ社、日本市場に本格参入へ

 世界最大のジェネリック医薬品(GE薬)企業であるイスラエルのテバファーマスーティカル・インダストリーズと興和は9月24日、両社が50%を出資して新たな合弁会社「興和テバ」を設立することを発表した。合弁会社は来年初旬に操業を開始し、日本のジェネリック市場に本格参入する。15年までに売上高1000億円以上を目指し、日本のGE薬市場でシェア10%を確保したい考えだ。

 テバは、世界60カ国以上にGE薬を販売し、50カ所の製造拠点を持つ世界最大のGE薬企業。2月には、12年までに事業規模を倍増し、200億ドルの収益を達成するとの戦略目標を発表している。

 一方の興和は、高脂血症治療薬「リバロ錠」を中心に、医療用医薬品のグローバル化を推進してきたが、今回、GE薬を新たな事業の柱に加えることにより、フルラインメーカーとして生き残りを図っていく姿勢を鮮明にした。

スイッチOTCを促進‐新スキームで第一弾

 今年の8月に厚生労働省は、医療用医薬品のスイッチOTC化促進のための新スキームによる第一弾として、アレルギー性鼻炎等用薬のアンレキサノクスなど、7品目のスイッチを進めるよう業界に通知した。今後、このスキームにより、年1回のペースで対象成分を選択していく。

 このスキームは、新医薬品販売制度に対応するため、第1類薬の充実を図るためのもの。一昨年に方針が示され、昨年に日本OTC医薬品協会が70成分の候補リストを公表、関連学会の意見をもとに薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会でその可否を決めた。

 また10月にOTC薬協は、高脂血症薬のプラバスタチン、プロトンポンプ阻害剤のラベプラゾールなど、スイッチOTC薬の候補リスト20成分を新たに追加公表した。候補成分リストについては、今後も適宜見直しを図り、改訂・公表を引き続き行っていく。

日薬新会長に児玉氏‐全薬剤師の結集呼びかけ

 2月の会長選挙で代議員の支持を受けた児玉孝氏が4月に日本薬剤師会の新会長に就任した。児玉氏は、会長選出馬に当たって異例のマニフェストを掲げ、自らの信念を会員に示した。新しく組織された執行部を“実行内閣”と位置づけ、マニフェストに掲げた施策の実現を目指している。

 また児玉氏は日薬の基本方針として、“日本における薬剤師職能を確立する”ことを示し、そのために薬剤師の専権業務を確立し、国民からの理解や信頼を獲得することの重要性を強調している。「薬剤師職能の確立は、富士山でいえば6合目、7合目の間くらいまで来た。ここから上がっていくのに、力を分散させてはいけない」とし、薬剤師のエネルギーを結集することが必要との姿勢を示している。

医薬品行政の見直し‐今年度には最終提言

 フィブリノゲン製剤・第IX因子製剤によるC型肝炎感染事件(薬害肝炎事件)の発生に端を発し、再発防止のための医薬品行政の見直しに関する提言を受けて5月に設置された「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は、7月に安全対策充実のための人員大幅増を行う方針や、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構の統合に関する2案などを示した中間とりまとめを公表した。

 さらに、11月に入ると、研究班から論点整理が示され、今年度末に予定する最終提言に向け審議を進めていくことになった。論点整理では、▽製造承認の際の審査内容▽再評価▽添付文書▽情報収集分析伝達体制――の4領域に分け、当時の実態と各種問題点を列挙、それぞれに対する現在の状況と対策案を示している。

総合機構の新理事長に近藤氏

 医薬品医療機器総合機構の新理事長に、4月1日付で近藤達也氏が就任した。初代理事長の宮島彰氏が、1月に辞職したことに伴うもの。近藤新理事長は、欧米に遜色なく、より迅速で質の高い承認審査、安全対策などを遂行していくため、臨床医の登用を積極的に進める考えを明らかにした。

 その方策として、今年4月から「連携大学院構想」をスタートさせる。総合機構における審査業務を医師のキャリアパスに位置づけ、社会人大学院生として博士号を取得できる仕組み。

 この構想には、審査業務を経験した医師を臨床研究の中核的人材に育成し、臨床研究の底上げを図る狙いもある。

ドラッグストア業界、12年度に10兆円産業

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、新医薬品販売制度がスタートすることや、スイッチOTC薬拡大などが後押しし、2012年度にはドラッグストアが10兆円産業となるよう、活動を展開していく。

 07年のドラッグストアの市場規模は5兆円に迫る勢いで、売上高も調査開始以来、増加傾向が続いている。これに加え、医療制度改革や改正薬事法全面施行により、24時間営業や調剤の取り込みへの準備期間に入ったとJACDSは見ており、今後、10兆円産業に向けた活動として、[1]スイッチOTCの拡大[2]面分業の推進[3]セルフメディケーションの推進[4]ドラッグストア企業の対応――などに積極的に取り組んでいく。

 中でも、スイッチOTC薬推進に関しては、製薬企業や日本薬剤師会とも協力して、取り組んでいく姿勢を示している。

長期実務実習費めぐり、日病薬など高値を提示

 薬学教育6年制に伴う薬剤師養成のあり方などを検討する「新薬剤師養成問題懇談会」(新6者懇)に6月25日、2010年からスタートする長期実務実習で、大学が実習先の病院・薬局に支払う費用は、薬学生1人当たり各11週間で約27万円を標準とする薬学教育協議会実務実習推進委員会の提案が示された。

 これに対し日本病院薬剤師会は、一貫して38万円を主張し、推進委員会案にあるように「実習費用の額は、大学と受け入れ施設との間で協議の上、適切に定める」ことが重要としている。また、国立大学病院薬剤部長会議は上部の病院長会議の結論を尊重するとの立場から、47万5000円が適当との考えを示している。

 今回の費用は10012年度までの暫定的措置で、13年度以降の費用は関係者で協議する。



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