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的確で有効な情報の啓発活動を

2022年11月04日 (金)

 現在、多くの国ではインターネットが普及し、国家が統制していない限り誰もが世界中から発信される諸情報に接することが可能だ。見識を広め、深耕することに役立つと思われるが、ここに落とし穴がある。いろいろな情報サイトで関心のある話題を検索すると、関連ニュースやSNSの投稿が列挙される。人工知能(AI)の影響かもしれないが、クリックを繰り返すと途切れることなく限定された関連情報が掲示され、無意識のうちに閉ざされたループ内でのチェーン検索に導かれる。

 その結果、見識を広めるどころか、思考の狭隘化という罠に陥ってしまう危険性を孕んでいる。回線を変えて検索を行うなどして、俯瞰的、多角的に情報収集することが必要ではないか。

 一方、情報発信側から見ると、世の中には数多くの普及啓発運動が年間を通じて行われている。馴染み深いのは全国交通安全運動だろう。運動の核心は、交通安全思想の普及・浸透による意識変革と行動変容である。交通安全に限らず、これら全ての運動は正しい思考・思想の醸成と適切な取り組みを促すことを主眼としている。

 今月は、政府が設定した「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」である。国立国際医療研究センター病院のAMR臨床リファレンスセンターによると、同月間は世界的な脅威となっているAMR問題に係る全国的な普及啓発活動を推進するためと説明されている。

 同センターでは、「薬剤耐性アクションプラン」に基づいて取り組んでおり、同月間に合わせて、様々な啓発キャンペーンと施策を実施している。

 昨年度に続いて、医療界の関係者にも人気が高いTVアニメ「はたらく細胞」とのコラボレーションにより、様々なキャンペーンを展開していくことにしている。

 医薬関連では同じく今月に、日本製薬工業協会が製薬協コード・オブ・プラクティス「コード理解促進月間」に取り組んでいる。今年度は、「誠実な行動で社会の期待に応えます‐一人ひとりが責任者」をテーマにした。

 同月間では、会員会社が一体になってコード遵守徹底に向けた社内点検に取り組んでいく。製薬協コードに対する継続した理解向上と共に、対外的にも情報発信を充実させて、社会の信頼に応え続けられる製薬産業を目指す意思を示した。

 行政、業界、企業は、それぞれの目的と思惑に沿って情報発信しているが、世界中へ一瞬で一気に情報が拡散する今、常に正確で適正な情報でなければ、人々に深刻な混乱を惹起させてしまう。

 特に、生命、健康に直結する行政機関の厚生労働省、医療・医薬関連団体と企業による各種の普及啓発活動は、他に比べて高い倫理性の確保、的確であることは当然、結果を伴うように有効であることが求められる。



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