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GE薬使用促進のポイントは何か

2007年09月19日 (水)

 2012年までにジェネリック医薬品(GE薬)の数量ベースでのシェアを30%にまで引き上げる方針の厚生労働省。これまで国としては1998年4月の一般名処方の実施を皮切りに、02年4月の使用促進インセンティブ加算(点数化)、06年4月の「処方せん様式変更」と、GE薬の使用促進として段階的に環境整備してきた。さらに今年度から、GE薬の薬価収載を年2回実施することも決まるなど、一昔前のGE業界では考えられなかった施策が矢継ぎ早に展開されてきている。

 現在、中央社会保険医療協議会では08年度診療報酬改定の一環として、後発品の使用促進のための議論が進行中で、特に動向が注目されるのは、06年度に「後発品への変更可」欄が設定された処方せん様式の『さらなる変更』の行方だ。

 昨年、中医協が行った調査では、後発品への切り替えが僅か1%未満だった。このことを受けて現在の先発品記載をベースとする処方せん様式を、後発品ベースとする考え方で検討されている。

 こうした使用促進策を背景に、GE業界全てが順風満帆のように見られがちだが、実際はそうではない。GE薬への切り替えが進まない背景に、取り扱う医師や薬剤師の「漠然としたGE薬に対する不安」が未だ完全に払拭されていない現状があるためだ。

 既に厚労省は昨年度、▽安定供給▽規格揃え▽情報提供の充実▽GE薬における効能効果の是正▽信頼性向上――などに関する通知を出すなど、GEメーカーに対して高いハードルを課している。これらは、中小企業が大半のGEメーカーに対し、大手製薬企業レベルの体制整備を求めたことにほかならない。

 こうした中で福岡県では、県下のGE薬使用促進協議会の中で、品質面での信頼性を担保するための溶出試験を実施していく方針を決めた。品目は無作為選定した医薬品卸や販社の流通在庫から抜き取って行うなど、後発品の収去検査としては踏み込んだ内容となる。また、国としても、各都道府県での使用促進の協議会設置や、薬事法に基づく収去検査の枠を後発品に拡大する方向で、その運営費を08年度概算要求に盛り込むなど、国・地方とも行政レベルの取り組みを強化する。

 GE業界も手をこまねいてはいない。医薬工業協議会はこのほど、会長直轄の「信頼性向上プロジェクト」を設置。今後GE薬の、▽品質▽情報提供▽安定供給――に関する課題達成度を測る指標を設定し、進捗状況を把握・公表するなど信頼性を向上させていく考えのようだ。GE業界全体の底上げにつながるものとして期待したい。 

 良質なGE薬の普及は、医療保険財政上も、さらに患者にとっても医薬品選択肢の幅が広がる意味でメリットは大きい。もちろん、品質面や安定供給面での不備は論外として排除されなければならない。しかし、情報流や物流などの経路については、低薬価であるGE薬なりの手技手法があり、先発品と同等の内容を求めるには現状では難しい側面もある。

 GE薬を社会的資源として育て、なおかつ、先発品とバランス良く流通させていくための均衡点を、メーカーと医療提供側双方の協調のもと見出していくことが、GE薬使用促進にとって最も重要なポイントとすべきところかもしれない。



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