オーガナイザー
荒川大(金沢大院医薬保)
石黒直樹(日本ベーリンガーインゲルハイム)
薬物誘発性腎障害は、前臨床研究における予測性が低く、医薬品開発試験や臨床現場において初めて観察されることが多い。そのため、有用なin vitro評価系の樹立と、in vitro系から得られた知見を臨床へ外挿する技術革新が課題となっている。薬物誘発性腎障害の発症には薬物トランスポーターや薬物代謝酵素を介した腎臓への分布と、薬物作用や低酸素などに対する腎臓の生理応答が関わり、これらを考慮した評価が必要となる。
本シンポジウムでは、薬物誘発性腎障害回避のための薬物動態・安全性評価における課題を製薬企業や医薬規制の立場から問題提起し、その解決手法として近年樹立された腎生理応答を可能とするヒト近位尿細管上皮細胞の三次元培養系や薬物性腎障害の進展に関わるバイオマーカーの研究を紹介し、今後どのように医薬品の研究開発へ応用していくかについて議論を深める。
(荒川大)