順天堂大学はこのほど、同大学が取り組むフレイル予防に関する研究が、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「2026年度長寿科学研究開発事業」に採択されたと発表した。同事業では、介護施設、地域などと連携し、介護予防や重度化防止に貢献するAI活用フレイル検出・評価アルゴリズムの開発を行っていく。
採択された事業は、「フレイル予防の介入のループを実現するAIによる早期検出・個別化介入統合モデルの研究開発」(研究開発代表者:松田雅弘氏・同大保健医療学部理学療法学科教授)で、研究開発期間は5月7日から来年3月31日まで。
同研究開発事業では、同大医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センターのフレイル外来をはじめ、地域在住(都内)高齢者、介護施設、高齢者病棟など多様な環境でデータ収集を行い、AIを用いたフレイル検出・評価アルゴリズムの開発を行う。
研究では、起立動作、歩行動作、方向転換などの日常生活に近い動作をタブレット端末で撮影し、マーカレス骨格推定技術を用いて関節運動や歩行パターンを解析する。さらに、認知機能評価、生活状況、社会参加状況、社会的孤立などを評価する簡易質問紙を組み合わせることで、身体的・心理的・社会的要因を統合した包括的なフレイル評価を実現を目指していく。
また、フレイルを一律に扱うのではなく、フレイルに近づく進行パターンをAIによる特徴量解析で分類分けした結果をもとに、個人の状態に応じた運動支援、生活指導、社会参加支援などを提示する「評価と介入が一体化したシステム」を構築していく。将来的には、運動動画配信や遠隔指導機能を備えたアプリケーションへの展開も予定しており、自宅や地域でも継続的に利用可能な介護予防支援を実現することを目指していく。
今後は、医療機関だけでなく、介護施設、地域健康診断、在宅支援など多様な現場で利用可能な、省力的かつ標準化されたフレイル評価システムの社会実装を目指していく。特に、カメラ1台とタブレット端末のみで実施可能な簡便性と、AIによる再現性・説明可能性を備えることで、専門職不足が深刻化する地域医療・介護現場においても活用できるシステムとして発展させていく。
さらに、評価から介入までを一体化することで、従来の「評価して終わり」のフレイル対策から脱却し、高齢者一人ひとりの状態に応じた個別最適化介護予防モデルの実現を目指す。この研究成果は、介護重症化予防、健康寿命延伸、医療・介護負担軽減への貢献が期待される。
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