コニカミノルタは29日、九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野などの研究グループが、同社の「X線動態」を活用し、肺動脈弁逆流の重症度を簡便かつ迅速に定量評価できる手法を開発したと発表した。この評価手法は、ファロー四徴症の術後評価の負担軽減と効率化が期待できる。
ファロー四徴症は最も頻度の高いチアノーゼ性先天性心疾患で、治療のためには一般的に心臓手術が必要になるが、術後に合併症として肺動脈弁逆流が起きることが多く見られる。肺動脈弁逆流の定量評価には心臓MRI検査が標準とされているが、検査コストが高いことなどの課題がある。また、もう一つの評価手法である心臓超音波検査は、定性評価にとどまるため重症度判定の信頼性には限界があるといわれている。
今回の研究では、「X線動態」で得られる肺動脈の画素値変化を「波形」として抽出・解析する新しいアプローチによって、肺動脈弁逆流の重症度を定量評価する手法を開発した。
ファロー四徴症術後患者58人と健常ボランティア14人を対象とした検証では、この評価手法によって得られる指標(Max PV slope)は心臓MRI検査で測定した逆流率と高い相関(R=0.87)を示した。さらに、重症肺動脈弁逆流(逆流率>30%)の検出において、感度93%、特異度94%、診断精度93%、AUC0.98という診断能を達成した。
この評価手法は、心臓超音波検査で重症度判定が困難な症例で、心臓MRI検査の必要性を判断する簡便かつ患者への負担が少ないスクリーニング検査として機能することが期待される。また、閉所恐怖症やペースメーカーの装着により心臓MRI検査が施行できない患者の代替検査としても期待される。
成人先天性心疾患患者は世界的に増加している一方で、地方や医療資源の限られた地域では専門的な心臓MRI検査へのアクセスが制限されている。この評価手法の普及により、こうした医療格差の是正にも貢献できると期待される。
同研究の成果は、放射線科領域で世界的に権威ある学術雑誌である「Radiology」に掲載された。
なお、「X線動態(DDR:Dynamic Digital Radiography)は、X線で撮影した連続画像を高速に取得し、臓器などの動きを動画として可視化できる同社独自のX線撮影技術。呼吸や心拍、関節の動きなどを詳細に観察することができるため、診断に有用な情報を静止画よりも多く提供できる。胸部単純X線画像の正面・側面2枚分程度の線量で動的情報を取得できる点も大きな特長となっている。
さらに、高度な画像処理・解析モードを備えており、単なる動画表示にとどまらない機能的評価によって、従来の単純X線撮影では得られない機能情報を視覚化・解析することができる。
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