
野木森社長
アステラス製薬の野木森雅郁社長は25日、都内で開いた記者懇談会で、高成長が見込まれるアジア事業について、「特に中国市場の成否が大事になってくる。インド市場は様子見の段階で、一気に市場拡大は想定していない」と述べ、中国市場を重視していく考えを示した。
アステラスはアジア戦略として、中国、韓国、香港、台湾、フィリピン、タイ、インドネシア、インドに子会社を展開。免疫抑制剤「プログラフ」、排尿障害治療薬「ハルナール」を中心に自社販売を拡大し、2010年3月期のアジア売上高は、7・6%増と好調に推移すると見込んでいる。特に、医薬品市場の成長率が約22%と言われる中国市場には、北京をはじめ4都市に販売拠点を設置し、アジア事業の牽引役と位置づけていく方針。
野木森氏は、「成長率はアジアが最も大きい。現在は全世界の売上構成比の3%だが、これがなるべく早く10%を占めるようになってほしい」と、アジア事業への期待を述べ、特に中国市場の成否が大事になってくると強調した。
一方、昨年、ムンバイに販売子会社を設立したインド市場に関しては、「プログラフ」の販売で事業をスタートさせるとしながらも、「インドでは既にプログラフの“先発品”が存在しており、オリジネーターのわれわれが、ジェネリック薬として高い価格で販売しなければならない」と指摘。未成熟な特許制度、高薬価の新薬が少ないことなど、インド市場の独自環境を挙げ、「様子見の部分がある」と慎重な姿勢を示した。その上で、「一気に市場拡大は想定していない」との考えを述べ、プログラフのオリジネーターとしてのノウハウを、いかに活用するかがインド市場開拓の鍵になるとした。