使用促進への影響“限定的”‐信頼回復は業界の努力次第

澤井会長
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の澤井弘行会長は、本紙のインタビューに対し、大洋薬品工業が配合量違いの規格外製品を出荷し、岐阜県から業務停止命令を受ける事態になったことについて、「会員各社が品質確保に努力している最中だけに、非常に痛い出来事だ。今回の一件でジェネリックは全て同じと思われかねず、影響は大きい」との認識を示した。その上で、「普通はあり得ないミス。それを発見できるシステムが不十分だった」と問題点を指摘。「品質を守るためにはコストをかけなければいけない」と強調した。ただ、後発品の使用促進に与える影響については「限定的だろう」とし、「信頼回復に向けた道は、われわれの努力次第」と再発防止を誓った。
今回、問題となった事態は、抗潰瘍剤「ガスポートD錠20mg」の2ロットで、主成分のファモチジン配合量が、厚生労働省への申請規格外だったにもかかわらず出荷したというもの。澤井氏は「行政処分の結果を見ないと何ともいえない」としながらも、「製造工程と出荷試験用サンプリングの二重ミスなど、普通はあり得ない。いかなるミスでも絶対にあってはならないこと」と厳しく指摘。GE薬協として、原因追求のための調査を行う考えのあることを明らかにした。
また、後発品誘導策を強化した診療報酬改定を直前に控えた時期だったことについては、「非常に痛い」とし、GE薬協として大洋薬品に厳然たる措置を取っていく考えを示した。その上で、「もう一度気を引き締め、こうしたことが起こらないよう、品質を守るためにはコストをかけ、絶対に手を抜いてはいけない」と訴えた。
ただ、後発品の使用促進に与える影響は「限定的」との見方を示し、「結局、信頼回復はわれわれの努力次第。一つひとつ品質確保に向けた努力を一生懸命しないといけない」と、再発防止に全力を挙げるとした。
一方で、今回の事態は、行政が実施した一斉収去で発覚した。澤井氏は、FDAがランバクシー工場の製造工程に欠陥があるとして、同社製品の輸入を停止した措置を例に挙げ、「日本でも行政のチェック機能がしっかり働くシステムになっているからこそ、品質に問題がある製品は必ず見つかるということであり、この一件をもってして、GE薬メーカー全体が問題だという指摘は当たらない」と強調した。
今後、GE薬協では、行政処分を待った上で、大洋薬品を処分する方針だ。併せて再発防止に向けた対応を行い、倫理委員会でコンプライアンス遵守のシステム作りにも着手する。澤井氏は「とにかく、本来あってはいけないことが起きた。他の会員各社は再発防止に努力し、医療関係者の信頼を勝ち取っていかなければならない」とした。