
会見する矢崎会頭
第28回日本医学会総会が4月、「いのちと地球の未来をひらく医学・医療―理解・信頼・そして発展」をメインテーマに、東京有楽町の東京国際フォーラムを主会場に開かれる。1999年以来、12年ぶりの東京開催となる今総会は、医療は社会と共に歩むというスタンスのもと、従来に比べ社会との関わりを重視している点が特徴。学術集会は4月8~10の3日間、博覧会は2~10の9日間、学術展示は7~10の4日間にわたって開催される。
準備・作業は最終段階に突入
準備が最終段階に入った23日、開催に向けた進捗状況を説明する記者会見が開かれ、矢崎義雄会頭(国立病院機構理事長)は、学術集会では、「基礎から臨床まで幅広いテーマを取り上げ、日本の医学・医療の最前線が理解できる」と、積極的な参加を呼びかけた。
また会見によると、参加申し込みの事前登録者は、現時点で約1万7000人強に上るという。
学術講演は、メインテーマのもと、最先端の医学・医療から、医療と社会の諸問題といった広汎に及ぶテーマに関してプログラムを企画。特に重要と考えられる課題については、特別企画1「医療を語る」、特別企画2「医学を語る」、市民公開シンポジウム「みんなで考える新しい医療」を行う。
中でも、医師不足・医療崩壊といった問題を、様々な立場・観点から議論する特別企画1「医療を語る」では、▽病院の機能分担や地域連携▽急性期病院勤務医の諸問題▽専門医制度のあり方▽チーム医療のあり方――について3日間にわたり議論し、最終日には、地域医療の再生に向けた喫緊の課題について、総会としての提言を発表する予定だ。
また、11年は国民皆保険制度が創設されて50周年に当たることから、皆保険制度から日本の医療制度のあり方を考える「記念シンポジウム」を企画。さらに、総会の締めくくりとして、ノーベル化学賞受賞者の鈴木章北海道大学名誉教授が講演を行うことも決まった。
博覧会は、「わかろう医学・つくろう!健康・EXPO2011」をテーマに掲げ、市民と医療関係者の密度濃いコミュニケーションを目指している。
展示ゾーンは、体や病気の仕組みが「わかる」、病気に挑み健康づくりに「とりくむ」、医療や健康・予防の未来を「つくる」の三つに分かれている。命の誕生から発達まで体の構造、臓器の役割などを分かりやすく解説する「わかる」展示では、動脈硬化が起こるメカニズムを血管トンネルに入りながら体感できる。
「とりくむ」展示では、動脈硬化や癌の診断・治療の最先端を紹介。「健診体験」では、動脈硬化の状態が分かる頚動脈のエコー検査などを体験できる。「つくる」展示では、iPS細胞が可能にする医療の姿や、臓器を大量生産できる組織工場など、再生医療の可能性について紹介する。
学術展示は、「知・技」プロフェッショナルの展開がテーマ。先端医療の最前線で活動する臨床医、研究開発者との対話を実現するユニークな展示も企画されている。