
メルクセローノとファイザーはきょう27日、両社が共同開発した根治切除不能なメルケル細胞癌(MCC)を適応とした抗PD-L1抗体「バベンチオ点滴静注200mg」(一般名:アベルマブ)を新発売した。国内初のMCC治療薬で、国内初のPD-L1抗体となる。両社は国内で癌免疫療法市場に参入する。
バベンチオは、独メルクが創製した免疫チェックポイント阻害剤で、腫瘍細胞がT細胞といった白血球から身を守るために利用するPD-L1に結合することで、抗腫瘍反応を示す。薬理作用として、細胞レベルでのインビトロ試験では、抗体依存性細胞傷害を誘導することが確認されている。2014年11月にメルクと米ファイザーが戦略的提携を結び、グローバルで開発を進めた。
今回適応を取得したMCCは、進行が早く、悪性度の高い皮膚癌の一種で、国内の患者数が100人未満の希少癌で、米国では3月に転移性MCC適応で承認を取得しており、スイスや欧州で承認を取得済み。今回の承認は、日本が参加した転移性MCC患者を対象とした多施設共同第II相試験「JAVELIN Merkel 200」の結果に基づいており、化学療法歴のある88例を対象とした奏効率は31.8%、化学療法歴のない16例では62.5%との中間解析結果を得ている。
用法・用量は、成人にはアベルマブとして、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注する。MCC以外に、胃癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌などを対象としたバベンチオの第III相多施設共同試験が進行している。15以上の異なる癌で開発を行っている。