
米食品医薬品局(FDA)は4月10日、病院の医療従事者が呼吸器防護具であるN95マスクやその同等品を再生処理して再利用することを認める緊急使用承認(Emergency Use Authorizations;EUA)を与えたことを発表した。FDAは、この措置により、全米で1日当たり約75万枚のN95マスクが再生処理されるとしている。FDA長官のStephen Hahn氏は、「この承認により、米国の約2,000カ所の病院ですぐに利用できる過酸化水素ガス滅菌器を用いて、この滅菌器と互換性のあるN95マスクおよびその同等品を再生処理できる」と述べている。
EUAが認められたのは、STERIS社の過酸化水素ガス低温滅菌器V-PRO 1 Plus、V-PRO maX、V-PRO maX2を用いた低温滅菌システムである。これは、滅菌チャンバー内にマスクを置き、過酸化水素ガスをチャンバー内に送りこんで滅菌する方法で、汚染されたさまざまな種類の器具を滅菌できる。N95マスクの場合、1度に10枚をおよそ28分で再生処理できるという。マスクは同一の医療従事者が用いるものとし、マスクの再生処理は10回まで行うことが可能である。
FDAはさらに4月12日、過酸化水素低温プラズマ滅菌器を用いたN95マスクの再利用にもEUAを与えた。過酸化水素低温プラズマ滅菌は、気化した過酸化水素およびそのプラズマの作用で滅菌する方法。N95マスクの場合、1度に10枚をおよそ24~55分で再生処理できるという。マスクの再生処理は最大で2回まで可能。この滅菌法を利用できる病院は米国に6,300カ所、総計9,930台の滅菌器があり、1日当たり約400万枚のN95マスクまたは同等品の再生処理が可能だとしている。
Hahn氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最前線にいる医療従事者が、感染予防に重要な役割を果たすN95マスクを再生処理して再利用できるということは、N95マスク不足の解消に役立つ大きな前進の一つである」と述べている。(HealthDay News 2020年4月10日)
(参考情報)
Press Release
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-issues-second-emergency-use-authorization-decontaminate-n95