第57回日本薬剤師会学術大会
岩月進会長による新体制では、委員会では医療DX関連の委員会のほか、職域部会では薬剤師の職域拡大を目指し、大学教員薬剤師部会が新設された。主な委員会、職域部会の活動内容を紹介する。

主な委員会活動
◇災害対策委員会
大規模地震や近年頻発する気象災害等に備えて、BCP(事業継続計画)の運用や各都道府県薬剤師会・関係団体との連携協力等、災害対策における日本薬剤師会の関与のあり方について検討している。また、災害時における情報共有の重要性に鑑み、安否確認システムの利用拡充等、連絡体制の整備についても取り組んでいるほか、災害対策マニュアル、モバイルファーマシーの運用等、災害薬事コーディネーターの全国的な配置に向けた普及活動等に関する各種の検討も行う。
◇医療保険委員会
調剤報酬や介護報酬の改定に向けた対応、関係する様々な調査や施策等の検討を行っているほか、調剤報酬体系や薬価制度、医薬品流通等のあり方についても関係者との協議も含めて議論を行う。
◇薬価基準検討会
新医薬品の薬価基準収載(保険適用)に際しては、厚生労働省保険局長より三師会(日薬、日本医師会および日本歯科医師会)に諮問することとされている。本検討会では、保険適用の可否およびその理由について、薬学、薬剤業務等の点から審議を行う。
◇調剤業務・医療安全委員会
日薬が作成する薬剤師の調剤業務に関する指針や医薬品安全使用に関する手順書等について、法令改正(薬機法等)や時代に応じた薬剤師業務を念頭に検討を行う。また、他団体の医療安全対策活動への協力など、医療安全の確保・推進に向け取り組んでいる。
◇薬局システム委員会
全国保健医療情報ネットワーク、オンライン資格確認、地域医療情報ネットワーク、電子処方箋の本格運用開始を見据えつつ、薬剤師の電子認証(薬剤師資格証の発行)や電子お薬手帳、オンライン服薬指導、医療情報共有など、薬局内システムのDX化について検討を行っている。
◇DX施策対応委員会
国の医療DX施策の策定過程における課題を議論すると共に、日薬としての要望や意見を取りまとめ国との調整等を行っている。また施策実施後の普及に向けた対応おいても、現場の課題等を踏まえた調整を行っている。
◇薬局ビジョン委員会
地域包括ケアシステムを基盤とした地域医療・保健等の提供体制において薬局・薬剤師がその役割を果たすため、薬局の理念・機能および薬剤師サービスを発揮できる方策の検討と実施に取り組むと共に、薬剤師の将来ビジョンについて検討している。
◇地域医薬品提供体制検討委員会
国民・患者へ、必要な医薬品を適切かつ過不足なく供給できる体制を確保し、薬局の機能および薬剤師サービスを提供できるための環境整備を行うため、各種施策を検討し実施している。
◇生涯学習委員会
「生涯学習支援システムJPALS」を運営し「JPALS認定薬剤師制度(G25)」を実施している。JPALSは、薬剤師が日々の学習記録を蓄積し自己研鑽を積んでいくことで、国際薬剤師・薬学連合(FIP)が提唱する「継続的な専門能力開発」を実践でき、信頼され求められる薬剤師となるための生涯学習の継続を支援している。
また、会員、非会員に関わらず日薬が発信すべき内容をコンテンツ化し、都道府県薬剤師会から全国一律の研修を実現する基盤とすることを目的として「日本薬剤師会研修プラットフォーム」を運用している。
◇薬学教育委員会
薬剤師を目指す薬学生(大学薬学部、薬科大学)の教育に関する委員会。特に、学生が5年生次に行う、薬局での実務実習がより充実した質の高いものとなるよう、全国の実習受入施設(薬局)や指導薬剤師と連携を図りながら取り組んでいる。
◇アンチ・ドーピング委員会
薬剤師のアンチ・ドーピング活動の支援および国民スポーツ大会開催地の都道府県薬剤師会の活動に対する協力・支援等を行っている。また、「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」の作成や薬剤師会アンチ・ドーピングホットラインの設置等を行っている。
職域部会
◇病院診療所薬剤師部会
例年7会場(札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、福岡)で共催団体の協力を得て病院診療所薬剤師研修会を企画。研修会は、病院・診療所勤務の薬剤師に限らず、保険薬局勤務の薬剤師等も参加対象とし、時宜的に重要なテーマ、演題を取り上げ、薬剤師業務や研修指導でも参考となる多くの事例を含めた講演内容とすることにより、薬剤師の自己研鑽を図る目的で実施する。
◇製薬薬剤師部会
製薬企業に勤務する薬剤師を主な対象とした研修会を企画・実施する。研修会を通じて、製薬企業に勤務する薬剤師の学識向上や連携を深めることを目指す。
◇農林水産薬事薬剤師部会
動物用医薬品を取り扱う業務に従事している薬剤師を対象とした研修会を企画・実施する。動物用医薬品の関係法規・制度、家畜等の疾病と薬剤等の研修を通じて、安全な畜水産物の生産・供給等に寄与することを目指す。
◇卸薬剤師部会
医薬品卸売販売業に勤務する薬剤師により構成されている。主な活動としては、卸関連薬剤師の学識向上や連携を深めることを目的に、医薬品流通、薬事法規等幅広い分野からテーマを選定し、研修会を毎年実施する。
◇行政薬剤師部会
都道府県および政令市に所属する薬剤師を幹事として構成する。薬事行政に関連した講演会を開催すると共に、全国の薬事に関する現状を把握するため、都道府県等の薬務主管課を対象に毎年異なるテーマで「薬事業務等に関する調査」を実施し、集計結果をフィードバックする。
◇学校薬剤師部会
学校環境衛生の維持管理、児童、生徒の健康やくすりの正しい使い方等について指導、助言する立場の学校薬剤師の支援を目的に活動する。具体的には、行政や関係団体との連携のほか、学校薬剤師や学校関係者向けの資材の制作や研修会等を企画・実施する。
◇大学教員薬剤師部会
大学教員の薬剤師による職域部会。会内の他の委員会と連携を図りつつ、教育研究にかかる諸課題の検討を行う。
理事に新人7人、女性6人起用
岩月新体制では、理事に新人7人、女性6人を起用し、常務理事には前政権の理事や新人含め6人を登用した。理事の平均年齢は56.1歳から55.0歳に若返り、女性理事は3人から6人に増加した。
女性常務理事には川名三知代氏と白滝貴子氏(新人)、理事には小林百代氏、池田里江子氏(新人)、小黒佳代子氏(新人)、山下由記氏を選んだ。
岩月氏は、6月30日の定時総会後に開かれた理事会後に記者会見し、「事業の継続性と人を育てていくとか、女性登用、若返りを図るなどいろいろな要素を組み合わせ、その時点でベストと思われる方を役員になっていただきたいと選んだ」と説明した。