生成系AI活用し翻訳自動化‐ツールの利便性さらに向上
グローバルで翻訳管理システムを提供しているmemoQは、年4回もの頻度で顧客の要望や意見に沿った機能を追加するなどのアップデートを重ねているが、このほど生成系AIを活用した翻訳自動化技術である「memoQ AGT(Adaptive Generative Translation)」をリリースした。また、昨年春に搭載されたインカントリーレビュー(ICR)ツールは、このほどリリースしたバージョン11において抜本的な変更を行うなどして利便性が向上。これらの新しい機能の利用をクライアントへ周知している。
同社が提供する「memoQ TMS」は、グローバルのライフサイエンス分野で約100社の導入実績を持つ。システムは年4回の頻度でアップデートされ、ユーザーニーズに合わせた新機能が随時追加されている。
中でも同社が現在積極的に展開しているのが「memoQ AGT」である。機械翻訳と翻訳メモリの長所を生かし、生成系AIを活用して翻訳を自動化する新技術だ。翻訳メモリや用語集など既存の言語リソースを踏まえて訳文をカスタマイズする指示(プロンプト)をAGTが大規模言語モデルであるMicrosoft Azure OpenAIに送信し、即座に言語リソースに沿った高品質な翻訳を出力する仕組みとなっている。LLMのトレーニングや微調整をする必要がないためコストを抑えることができ、プロンプトは処理後に消える仕様のため、セキュリティ面でも機密漏洩の心配は不要だ。
またICRツールも一押しの機能だ。翻訳文が製品展開する海外現地の法規制などに合った内容かを現地担当者が確認するICR作業を「memoQ TMS」上で情報共有をしながら進めることができる。例えばコメント修正指示、直接翻訳の編集、TB(用語集)の用語確認、QAの実行、ドキュメントのレイアウトプレビューなどだ。修正箇所はシステム内に記録され、次回の翻訳にも応用できる。これにより翻訳プロジェクト全体の効率化を図ることができる。
このほどリリースしたバージョン11ではツールに抜本的な変更を加え利便性を大きく向上させた。ICRツールはグローバルでは製薬企業の利用実績があるものの国内ではまだ使用頻度が低く、今後同社として積極的な利用をクライアントへ促していく考えだ。
最近ではライセンスのサブスク需要を受け、同社も「memoQ TMS」をはじめ、「memoQ translator pro」などのツールをサブスク利用に対応させ、今後も順次移行していく考えだ。製薬業界ではセキュリティ面を重視し、社外サーバーでのやり取りを懸念される事案が多いが、オンプレミス型も用意しているため、顧客に合った提案が可能となっている。
また同社は顧客がよりmemoQのシステムやツールの理解を深められるよう「memoQ academy」を運用している。動画で詳しく学ぶことができ、初心者にも最適だ。今後、日本語字幕も選択できるようにしたいとしている。
ソリューションエンジニアの糸目慈樹氏は、「memoQは高機能で、かつ柔軟性も高いシステムだ。これまでも多くのユーザーからの難易度の高い要望に応えてきた。複雑なワークフローが必要な企業様でも、ニーズに合った提案が可能なので、ぜひ一度相談してほしい」と語る。
シニアセールスマネージャーの三浦陽氏は、「ありがたいことに、国内における翻訳管理システムの市場は拡大傾向にある。新たな人員も採用し、クライアントに対してmemoQの最適なサービスを積極的に提案していきたい」と意欲を示している。
memoQ
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