今年がスタートして、1カ月超が経過した。元日に能登半島地震が発生するなど、衝撃的な年明けとなった昨年と比べると、比較的穏やかに過ごせた年明けだったように思う。ただ、国内で全般的な物価高は依然として続いており、ガソリン代値上がりをはじめとするエネルギー高騰、さらには人手不足といった状況もあり、今後、様々な方面に大きな影響が出現する可能性は否定できない。
こうした中でドラッグストア業界に目を向けると、順調に店舗数を拡大し、多くの企業で調剤分野や食品分野が堅調に推移している。これらの要因に牽引されて、ドラッグストア業界は成長を続けている。
今年に関して言えば、長くドラッグストア業界および日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が掲げてきた目標「2025年10兆円産業化」のまさにその年に当たる。ドラッグストア業界への注目や関心が、これまで以上に高まっていくのではないだろうか。
実際、JACDSの23年度版ドラッグストア実態調査によると、全国総売上高は9兆2022億円と推定されている。調査を開始した00年度の2兆6600億円から拡大を続けており、23年度も前年と比較した伸び率は5.6%増と高い数字を維持した。カテゴリー別でも4.0%増から7.7%増の幅で全般的に増加している状況で、堅調な成長を今なお続けていることがよく分かる。
「25年10兆円産業化」という目標に向かっての軌道に関して、JACDSは以前、1店舗当たりの売上高が順調に伸びていること、調剤の売上高の比率が高まっていること、食品の取り扱い比率が拡大し伸びていることなどを挙げた上で、「ほぼ順調な軌道に乗っていると理解している」との考えを示した。
例えば、1店舗当たりの売上高は23年度調査で3億9938万円となり前年比1.2%増、7年連続で調査結果の最高を更新している。JACDSの考えは現在、さらに確度が高まっているはずだ。
10兆円産業化へと向かうドラッグストア業界を牽引し続けてきたJACDSは昨年、設立25周年という節目の年を迎えた。3月には記念セレモニーを開催し、多くの参加者と共に次の25年への飛躍を誓った。
昨年6月の総会では、塚本厚志新会長をはじめとする新執行部が誕生し、同10月には組織改革も実施した。次の時代も見据えた取り組みに業界と共に邁進している。
ドラッグストアは、コロナ禍における取り組みなどで地域や住民からの信頼を獲得し、「なくてはならないもの」として各地域での存在感を増している。その分、寄せられる期待も大きなものになっている。
今年もまだ不安や不満を拭い難いと言える中ではあるが、ドラッグストアには地域生活者の大きな期待に応えていけるように環境整備を促進し、さらなる機能強化に取り組む姿を見せてほしい。