京都大学の竹内繁樹教授らの研究グループは、島津製作所およびsantec Holdingsなどと協力し、今年開かれる日本国際博覧会(大阪・関西万博)の企画展「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」(内閣府・文部科学省主催)で、量子赤外線分光を用いた未来の計測技術に関するコンセプトモデルを展示する。会期は8月14~20日。
同企画展は、量子もつれ光子対を利用した装置が、その場で実際に作動することにより、「量子もつれ」の不思議な世界を体験できるという、一般公開では国内初の試みとなる。
島津製作所は2018年から竹内氏らのグループとともに、文科省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「量子もつれ光子対を利用した量子計測デバイスの研究」に取り組んでいる。
この研究では、量子もつれ光子対の発生過程の干渉を用いて、可視域の光源と検出器のみで、赤外域での分光が可能な「量子赤外吸収分光測定」を実施している。同技術が社会実装されると、医療やセキュリティ、環境モニタリングなどにおける様々な物質の鑑別同定が、小型で高性能な量子赤外分光装置によって可能となるという。