対話できるウェブ研修提供

佃氏
日本薬剤師研修センターの認定単位発行機関であるリード・コンファーマは、在宅医療をメインに受講者と講師が対話できる研修をウェブで提供している。講師である認定薬剤師等が基礎から解説しつつ、受講者が自分で考えられる内容を心がけている。生成AIの活用を通じた研修の質向上も検討しており、同社代表理事の佃勇也氏は「研修を通じて志の高い薬剤師を見つけ、当社と関わることで新たな人生の目標や選択肢を増やしてもらいたい」と語る。
同社が提供する研修は、認定薬剤師の単位を発行でき、患者ニーズが増加・多様化する在宅医療に関するものが多いことを特長としている。佃氏は、「当社の研修講師は薬剤師がほとんどで、在宅専門薬局から研修実施の相談を受け、講師を派遣してもらっている」と説明する。
日本在宅薬学会認定の在宅療養支援認定薬剤師が講師となり、患者宅に往診同行した際に医師の処方に関するアドバイスを行うほか、糖尿病に関する研修では、検査値の見方や治療の際に使用すべき薬剤の説明等を行っている。
在宅医療関連研修の一つとして、今年3月に褥瘡・創傷専門薬剤師を講師として、「褥瘡の基本、外来・在宅の押さえどころ」をテーマとした研修を開いた。褥瘡の状態に合う外用剤の適切な使用方法を受講者が説明できることなどを目標に定め、褥瘡の定義や頻繁に発現する部位、治療に向けた適切な薬剤選択、正しい薬剤の使用方法等が実例を踏まえて解説され、チャットや音声による質疑応答も行われた。
在宅分野以外では、健康サポート薬局の届出を検討している薬剤師向けに、適切なサプリメントや漢方の提案に向けた研修も実施している。寝たきり状態の患者では皮膚関連トラブルが多いため、皮膚分野では掻痒の基本に関する研修も行い、講師が爪や水虫等の治療についてアドバイスし、患者のケアを行うヘルパーに受講者がアドバイスできるようにすることを目標としている。各研修の平均受講者数は40~50人だが、皮膚分野の研修では100人以上を集めた。
研修は月1~2回の頻度で開催し、同社に会員登録していない人も受講できる。佃氏は、各研修に共通するものとして「受講者が自分で考えて判断できる、答えのない問題を作ってほしいと講師に要望している」とした。
会員や受講者が参加する交流会も開き、対面コミュニケーションで薬剤師同士の情報交換やネットワーク構築を図っている。佃氏は、「若手薬剤師の研修受講率上昇に向け、交流会で人を集めてよく話を聞くことが良いのでは」と考える。
他方で、課題としてコロナ禍以降ウェブでの研修実施に切り替えたため、「グループ討論が実施しにくくなった。対面なら椅子を並べて受講者同士で話すことができた」とし、対面の研修復活も検討している。
研修の質向上も必須と捉えており、その一歩として司会進行にアナウンサーを起用した。生成AIの活用も模索しており、「薬歴の記載を円滑にする他にも活用方法があると考えており、薬剤師と掛け合わせて何かできないか検討している。色々なことに取り組んで使えるものは使ってみる段階だと捉えている。新しいもの積極的に取り入れ、かみ砕いてオープンにしていきたい」と展望を語る。
長期的には、研修会や交流会を通して理想の高い薬剤師育成を目指しており、佃氏は「各薬局が個性を出して生き残りをかけた経営が必要になっている。ただ、画期的なアイデアだけで困難を乗り越えることは難しいため、薬剤師だけでなく他職種や患者からもアイデアを出し合うことで時代の荒波を乗り越えられれば」とした。
複数の企業から協賛セミナーの開催も依頼されており、「共催も通じて業界がより良くなることを考えており、志の高い人を見つけていきたい。将来的に独立したいなど、若手薬剤師から相談を受けられるような会社になれれば」と語った。
リード・コンファーマ
https://lead-conpharm.or.jp/