◆3億円超の薬価が付いた遺伝子治療薬の説明会を取材した。重い副作用リスクはあるが、患者の運動機能やQOLの一定の改善が期待できるようだ。ただ、高額な薬剤費に加え医療資源も多く使う。公的医療費の大半を負担する社会全体が納得する価値があるのかは現時点で見えなかった◆労働政策研究・研修機構のユースフル労働統計2025によると、大学卒業後60歳まで継続してフルタイム正社員として働いた場合の生涯年収(退職金を除く)は男性約2.6億円、女性約2.1億円◆国民1人の約40年の勤労の対価に匹敵する高額の保険適用では、患者と家族だけでなく支え手の国民に及ぶ恩恵についても明確な説明が求められそうだ◆交易条件の悪化などで円は対ドルで39年半ぶりの安値に沈み、物価上昇で子育て・氷河期世代を中心に負担余力は乏しい。今後、社会保険料の負担期間が短い外国人による高額医療の利用増大も予想される。公的医療の持続性を守るため、負担と享受のバランスの線引きをどこかで行う時期に来ている。
公的医療の岐路
2026年07月03日 (金)
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