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忘れないで新販売制度の精神

2009年08月28日 (金)

 コンビニエンスストアのローソンと、ドラッグストアのマツモトキヨシホールディングスという、各業態大手の2社が24日に業務提携を発表。コンビニとドラッグストアのノウハウを結集した新たな業態店舗を展開していく方針を打ち出した。今年度中に合弁会社を設立し、来年度にも1号店を展開していくという。

 今年6月の改正薬事法施行に伴い、いわゆる従来の医薬品販売における「異業種」であったコンビニ、スーパー、ホームセンターなどが登録販売者を配置し、第2~3類薬販売を焦点に、店舗販売業としての出店を加速している。そうした中で、今回の「コンビニ+ドラッグ」の大手連携は、医薬品販売では異業種同士の競合という次元ではなく、業態の垣根を越え共同で活路を見出そうという新たな段階に入ったともいえる。

 コンビニの医薬品販売への本格参入の報は、ちょうど1年前に遡る。コンビニ大手の「ファミリーマート」がOTC薬の販売を始める方針を打ち出し、昨秋、薬剤師を配置した「ファミマドラッグ」の名称で、改正法対応に向けた直営店を設置。これらの実験店舗で、▽医薬品の販売・検証▽登録販売者の養成ノウハウ構築――などを目指し、取り扱い店舗を3年後に300店舗まで拡大させる計画という。

 同時期に、セブンイレブン等を傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスが、調剤薬局チェーンのアインファーマシーズと資本・業務提携を発表。その後、合弁会社「セブンヘルスケア」を立ち上げ、傘下企業での医薬品販売を拡大していく構えで、今月にはイトーヨーカ堂内に、自社開発ドラッグストア「セブン美のガーデン」をオープンさせた。

 また、イオングループも傘下のコンビニ「ミニストップ」とドラッグストア企業との連携を進め、4月には関東のグローウェルホールディングス、8月には関西のタキヤの店内に、コンビニエンスストアを併設したドラッグ&コンビニ融合新型店をそれぞれ開設。従来のドラッグストア業態から、大手流通業との連携による新たな医薬品販売の新業態を模索する動きが、一部で活況になってきた。

 現在、コンビニは、物販だけでなく、銀行ATMのほか、チケット販売などマルチメディア的な要素など、社会的インフラ機能を数多く持ち合わせる形で生活の中に定着している。

 新業態店舗の方向性としては、ドラッグになかった「弁当などの食材販売やATM機能」、コンビニになかった「医薬品販売・処方せん調剤などのノウハウ」を相互補完しつつ、それらを融合させるというものになるのだろうか。

 旧聞に属するが、昨年の改正薬事法施行を前に行われた一般を対象としたある調査では、「登録販売者がいれば、約66%がコンビニやスーパーで医薬品を購入する」と、医薬品の購入場所について、薬局やドラッグストア以外でも購入できるという利便性を肯定的に見る人が多いということも分かっている。

 昨今の消費不況を受け、出口の見えないトンネルの中にいるといわれる流通業界。改正薬事法を契機に新たな収益源として、医薬品販売を取り込みたい異業種側と、セルフメディケーションの担い手として成長発展してきたドラッグストア。

 企業的には、両者の思惑が一致した格好による連携なのかもしれないが、改正薬事法の趣旨である、販売時の相談応需や情報提供体制の確保による「医薬品適正使用の推進」は、置き去りにしてはならない。



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