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【AMS】泌尿器関連医療機器の日本事業を加速

2009年11月25日 (水)
ビール氏

ビール氏

 泌尿器関連の米医療機器メーカー「アメリカン・メディカル・システムズ」(AMS)は、9月に男性尿失禁治療向け人工尿道括約筋「AMS800」の国内承認を取得し、日本事業の強化に乗り出した。2010年には、女性の尿失禁関連製品、前立腺肥大症向けレーザー治療機器の承認取得を見込み、これら3製品の最大化に向けて医師教育を強化し、手技の浸透を進めたい考えだ。アンソニー・ビールIII世社長兼CEOは、本紙のインタビューに対し、「日本では尿失禁などに対症療法しか行われておらず、泌尿器疾患に関する悩みを医師に打ち明けられない患者も多い。医師との連携を強化するのみならず、疾患啓発なども行ってAMSの製品を届けていきたい」との考えを示した。

 AMSは、骨盤周辺部位の疾患に特化した医療機器メーカーで、全世界の売上高は約5億ドル。特に、男性の尿失禁治療用の人工尿道括約筋は、全世界で約90%のシェアを獲得しており、高齢化が急速に進む日本を有望な市場と位置づけている。既に国内では、1990年から販売代理店を通じ、人工尿道括約筋の旧モデルの販売を行ってきたが、ビール氏は「9月に『AMS800』の承認を取得したことで、日本事業をさらに加速させたい」と市場拡大に意欲を示す。

 「AMS800」は、前立腺全摘術や外傷、神経因性膀胱など重い男性尿失禁が適応。合成樹脂製で、尿道を締めたり緩めたりするカフと呼ばれるリングと、チューブ、バルーン、ポンプで構成されており、腹部に埋め込まれる。カフによる尿道の締め付けを、ポンプのスイッチで操作することによって、自分の意思で排尿をコントロールできるようにする医療器具。低侵襲で手術を行うことができ、手術後から実際に使用できるまでの期間も短いのが特徴だ。生活に支障がない程度に、自分の意志で適切な場所・場面で排尿できることから、患者満足度も高いという。

 ビール氏は「尿失禁は、患者の自尊心に関わる重大な疾患。『AMS800』を日本に投入することによって、患者の精神面でのQOLを改善できる」と、その意義を強調する。

 実際、前立腺摘出術を受けた患者のうち、重篤な尿失禁を抱える患者は1~3%と言われているが、重度の尿失禁対策としては、おむつや尿パットなどの対症療法しか手段がなかった。しかし、おむつや尿パッドが、患者の生活や精神面に大きな影響を与えていたことは否めなかった。

 国内では、人工尿道括約筋を用いた治療法が広く患者に知られていないだけに、ビール氏は「日本泌尿器科学会などと連携し、『AMS800』の手技を行える医師を増やしていきたい」と語る。具体的には、一部の専門医に集中して手技を教育し、手技を学んだ教育的立場の医師が、さらに他の医者に教育研修を行うという方法で、段階的に手技を浸透させる戦略を掲げる。

 また、来年には、現在申請中の女性の尿失禁関連製品、前立腺肥大症向けのレーザー治療機器の国内承認も見込んでいる。そこで同社では、「AMS800」を含めた3製品の市場浸透を目指し、7~10人の社員を日本に投入。AMS製品の国内販売代理店「タカイ医科工業」の支援に加え、保険適用取得に向けた活動など、日本事業を強化していくことにしている。

 ビール氏は、「日本では、尿失禁などの悩みを、医師に打ち明けられない患者も多いため、文化的習慣に配慮した取り組みが必要となる」との認識を示す。ウェブサイトや講習会の活用、患者に対する啓発活動の検討など、日本独自の戦略を視野に活動を進めていく方針だ。



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