厚生労働省の厚生科学審議会予防接種部会(加藤達夫部会長)は19日、新型インフルエンザA(H1N1)のワクチン接種を、予防接種法の新たな類型「新臨時接種(仮称)」として、法律で定めるよう求める提言をまとめた。昨夏の流行を受け、A(H1N1)ワクチン接種は、国の予算事業として実施されてきたが、法定事業に移ることになる。厚労省は、今国会での法改正を目指す。
新臨時接種は、麻しん等の1類疾病の定期接種や強毒性のH5N1型インフルなどを想定した現行の臨時接種と、季節性インフルを対象とした2類疾病の定期接種の中間的な位置づけ。1類疾病や現行臨時に比べて病原性が低く、高い接種率を確保する必要が認められないことから、国民に接種の努力義務を課さないものの、医療提供体制への過度な負担や、社会的混乱を回避する必要があるため、行政は接種を勧奨する。実費の徴収も認める。
また、特別措置法で対応してきた健康被害救済も、新たな枠組みを定める。給付水準は、公的関与の度合いを踏まえ、1類定期・現行臨時と、2類定期の間に設定する方向だ。
このほか部会は、新型インフル以外の疾病を含め、世界的大流行への対応についても意見を整理。世界中でワクチン需給が逼迫する場合に、製薬企業が負担すべきレベルを上回るリスクを国がカバーすべきとし、今回の特措法における輸入ワクチンへの対応を踏まえ、国による損失補償契約の要件を定めるよう求めた。
接種の優先順位づけについても言及し、国が対象疾病や接種対象者を定め、地方公共団体が予防接種を実施する枠組みを導入すべきと指摘している。これまで国は、疾病を指定するのみで、対象者は定めてこなかった。