「MSD」が10月1日にスタート
万有製薬とシェリング・プラウの統合新会社「MSD」は、10月1日からスタートを切る。新社長に就任予定のトニー・アルバレズ氏は7日、都内で記者会見を開き、「一つの製品に依存することなく、幅広い疾患領域の製品を提供できるのがMSDの競争優位性だ」と述べ、主力の循環器領域のみならず、麻酔、中枢神経系、癌、女性の健康などの新たな領域に進出し、「5年以内に国内トップ3入り」を目指す方針を打ち出した。
万有製薬では、循環器・メタボリック領域の製品群が売上の50%以上を占めていたが、シェリング・プラウの麻酔・中枢神経系・癌など新たな領域を追加されることで、バランスのとれた製品ラインナップを実現。2009年売上ベースでは国内第8位に浮上する。
さらに、米メルクが国内市場に積極的な投資を行う中、開発パイプラインには、幅広い疾患領域で豊富な化合物が控える。アルバレズ氏は、「持続的な成長を遂げるためには幅広い領域で新薬が必要だが、われわれは十分なパイプラインを持っている」と述べ、5年以内に国内トップ3入りを目指す考えを示した。
一方、具体的な開発パイプラインについて、副社長執行役員グローバル研究開発本部長のデニス・アーブ氏は、「現在60件以上の開発プログラムが進行中で、12製品が第II・III相段階にある」と国内の開発状況を説明した上で、「11~13年は四半期ごとに1件の承認申請を目指したい」と語った。
万有製薬とシェリングプラウは今年、ロタウイルスワクチン「V260」、皮膚T細胞性リンパ腫治療剤「ボリノスタット」、MRSA治療薬「ダプトマイシン」など5件の承認申請を行った。
アーブ氏は、「当初4件の国内申請を計画していたが、予定通りに達成することができた」と評価。現在、60件以上の開発プログラムが国内で進行中で、第II・III相にはそれぞれ6製品が控える中、「11~13年には四半期ごとに1件の承認申請を目指したい」との方針を打ち出した。
特に国内で拡大が見込まれるワクチン領域は、「MSDにとってコアビジネスで、ターゲットとなる分野」(アーブ氏)として開発を進める。現在、4価HPVワクチン「ガーダシル」とロタウイルスワクチンが申請中、9価HPVワクチン「V‐503」が第III相段階、MRSA予防ワクチン「V710」が第II相段階にあるが、グローバルのポートフォリオの中から、さらなる製品の投入を検討する考えだ。
メルク本社では3年前から、グローバル開発戦略を変更し、国内市場を成長市場に位置づけ、日米欧同時開発を推進してきた。今回、シェリングプラウと統合することで、国内開発をさらに加速化したい考えだ。