CRMソリューション提供‐情報共有化で営業生産性支援

川崎氏
セジデムデンドライトは、製薬業界に特化した顧客関係管理(CRM)ソリューションを提供し、MR業務の効率化にとどまらず、システム内に最新の顧客情報やナレッジを集積し、全社的に共有化することで、営業生産性の向上をサポートしている。今年に入り、CRMソリューションサービス「Mobile Intelligence」(MI)の導入を開始。全世界共通のフレームワークでありながら、日本特有の事業環境にも対応し、ユーザーフレンドリーで多彩な機能が盛り込まれているのが特徴だ。川崎信也社長は、「自社でシステムを構築している製薬企業もありますが、MIとのコラボレーションでシステム全体の付加価値を高められる」と強調する。
セジデムグループは、1969年にフランスで設立され、ヘルスケア分野に特化したソリューションを提供している。2007年にはセジデムがデンドライトを買収し、セジデムデンドライトとしてスタート。現在世界80カ国で事業展開を進め、グローバルのユーザー数は20万人を超える。
一方、国内では88年に日本法人を設立。現在、武田薬品やファイザーなど製薬関連企業35社、2万7000人以上が、同社のCRMソリューションのユーザーで、医薬情報担当者教育センター認定MRの、約4割が使用している。
主力製品として位置づけるCRMソリューションのMIについて、川崎氏は「製薬企業向けにサービスを提供してきた経験・ノウハウを、MIの一つひとつの機能に凝縮している」と話す。例えば、日報入力など基本的業務に関しては、MRの思考方法や活動パターンを反映した設計によって、簡単に処理できるよう工夫。「顧客との対話を重ね、長年にわたって積み上げてきた結果、MRの思考に沿った画面構成遷移になっている」と自信を示している。
また、スマートフォンやタブレットPCがMRの営業ツールとして普及する中、MRの現場で求められているのが、デバイスとCRMソリューションとの連携。スマートフォンとMIの組み合わせによって、MRは必要なときに必要な情報を取得し、迅速で的確な営業活動につなげられる。
例えば、「競合他社が担当施設のドクター訪問をしている中で、どうディテールを行い、ドクターの信頼を獲得したか」「新製品をどうアプローチし、採用につなげたか」など、ベストプラクティスも共有。各MRのスキルアップはもちろん、チームワークの効率化、企業のマーケティング戦略にも生かせる。
さらに、80カ国で事業展開を進めてきた強みを生かし、グローバルで単一のフレームワークを開発。グローバルスタンダード製品である一方で、それぞれの国・地域の事業環境に合わせた機能も盛り込んだ。加えて、パッケージ製品でありながら、豊富なテンプレートを用意し、コンフィグレーションによって顧客のニーズに合ったサービスを利用できる。「グローバル」と「リージョン」、「パッケージ」と「顧客固有のニーズ」のバランスが取れたソリューションになっている。

そのほか、サービスの利用形態の幅も広がった。MIの提供開始によって、ユーザー側でサーバーやソフトウェアを用意せずに、インターネット経由で利用できる「SaaS」型のCRMサービスも受けられるようになった。ユーザー側は、サーバーやソフトウェアを自前で用意する必要がなくなり、システム運用管理の手間が省ける。
今後の課題は、自社でシステムを構築している製薬企業に対し、どうコラボレーションしていくか。「他社のソリューションを利用している製薬企業からも、現状のシステムを分析してほしいという要望が増えている」と川崎氏。同社では2年前から、コンサルティングサービスを実施。システムメーカーの視点で、戦略に対して、システムとして何が不足しているか、どう改善すればいいかを一緒に考えるというもの。既に5社に提供している。
激変する製薬業界に対応するために、顧客との対話を重ね、新しいソリューションを提案していく。毎年パリと東京で製薬関連企業のCIO、CRM責任者を集めたアドバイザリーボードミーティングを開催し、日本独自の要望を製品開発に役立てるため、製薬向けのCRMの正しいあり方や、将来の戦略、ビジネスの方向性についての意見を集めている。川崎氏は、「常に高付加価値のあるCRMサービスを提供していきたい」と意欲を示している。
セジデムデンドライト
http://www.cegedimdendrite.jp