ITで薬剤師のスキル向上
5年前に薬歴の電子化図る
たんぽぽ調剤薬局(兵庫県神崎郡)は、姫路城で有名な姫路市の郊外に立地する。院外処方箋の応需枚数は1日100枚程度で、その比率は隣接する藤川医院80%、その他20%。地元密着型の薬局として患者の信頼も厚く、処方箋応需のピークが過ぎる昼過ぎの時間帯には、毎日数人の患者が薬の相談に訪れる。同薬局では薬剤師個人のスキルアップをサポートするため、多彩な機能を持つ保険薬局用コンピュータを導入し、地域医療へのさらなる貢献を目指している。
たんぽぽ調剤薬局は、15年前に藤田佳典氏が、姫路市郊外に最初に開設した地元密着型薬局で、現在系列店は5店舗になる。
同薬局のスタッフは、薬剤師数5人、事務員2人で構成。薬剤師5人がローテーションを組んで、調剤業務をはじめとする様々な薬剤師職能に従事している。
1日の平均処方せん枚数は100枚程度で、隣接する藤川医院(内科)や、姫路聖マリア病院、姫路赤十字病院をはじめとする広域病院から、多科にわたる処方箋を応需している。
「兵庫県の郡部にあっても、薬剤師の技術水準は高い薬局」を経営理念とする同薬局において、「薬剤師個人のスキルアップを図るには、ITを駆使したサポートが必要不可欠になる」と強調する藤田氏。
本格的なIT化を10年前から進めてきたが、5年前の薬歴の電子化をきっかけに、三洋電機の保険薬局用コンピュータ「Pharnes(ファーネス)」を導入した。
患者との会話をアシスト
同システムの活用により、薬剤業務の効率化はもちろん、薬剤師のスキル向上を図ってきた。
ファーネス導入によって、処方箋の2次元コード読み取りや、写真つき薬袋の自動印刷も実現。薬袋の自動印刷では、「様々な大きさの薬袋用紙に薬の名称や写真、効能・効果などの情報を直接印刷するため、チェック機能の充実にもつながっている」と話す藤田氏。一方、薬歴の電子化では、「対話型電子薬歴管理システムDrugstarCerebEX(三洋電機)の貢献によるところが大きい」と強調する。
同システムは、患者との会話の展開を、スムーズにアシストすることをコンセプトの一つに開発されたもので、DrugstarCerebEXから提供される薬歴記載フォームが、自然と対話を生み出し、その対話を通じて患者の心理面までケアする服薬カウンセリングを実現している。
藤田氏は、「薬歴の記載内容の充実と業務の効率化、調剤ミスの防止に大きく貢献している。相互作用も自動でチェックがかかり、薬のしおりも搭載、パソコンの苦手なスタッフには音声入力がとても役立っている」と、その有用性を高く評価する。さらに、「一つひとつの薬剤について、ユーザー文書が作れる」ことも大きなメリットになっているようだ。
藤田氏は、数ある電子薬歴システムの中からDrugstarCerebEXを選んだ理由として、「先輩薬剤師の知識やスキルを、きちんと入力できる唯一のシステムだったから」と説明する。その上で、「先輩薬剤師の知識やスキルは薬局にとって貴重な財産。その財産をきちんと若い薬剤師に伝えることで、もう一段階上のレベルの調剤薬局を目指したい」と話す。
システムの導入により、薬歴の音声入力化、処方箋の2次元コード読み取りなどで、「患者さんが帰られた後に、薬歴の作成を持ち越すことはなくなった」と話す藤田氏。作業短縮で余った時間は、研修会を開いたり、薬局のマニュアル作りに利用しているという。
電子薬歴は、薬相談の時間捻出にも寄与している。処方箋応需のピークが過ぎる昼過ぎには、毎日数人の患者が薬の相談に訪れる。地元密着型の相談薬局ならではの光景だ。藤田氏は、「DrugstarCerebEXの活用で、相談に来られた患者さんの詳しい薬歴を、素早く取り出せるメリットも大きい」と評価する。
たんぽぽ調剤薬局では、今後もより良い医療の提供と後進の育成をすることで、地域医療に貢献する薬局作りを続けるためにも、電子薬歴を積極的に活用している。
三洋電機株式会社
http://www.medicom.sanyo.com:80/pharmacy/index.htm