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“一体改革”政局やめ本質議論を

2012年5月18日 (金)

 消費税率の引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革」関連法案が国会で審議入りした。

 改めて大綱をおさらいすると、まず2014年4月に消費税率を8%に引き上げ、さらに15年10月から10%へ段階的に引き上げるというもので、5%引き上げにより生じるとされる約13・5兆円の税収は、全て社会保障の維持・充実に充てると与党は説明している。

 具体的には、現在、消費税を充当している高齢者3経費(基礎年金、老人医療、介護)を、社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)に拡充。1%アップで得られる約2・7兆円の税収のうち、約1・6兆円弱を高度急性期への医療資源の集中投入(入院医療の強化)、在宅医療・介護の充実(病院・施設から地域、住宅へ)などの医療・介護の充実強化に充てる。

 残りの4%で得られる約10・8兆円は、年金国庫負担2分の1(2・9兆円)、高齢化に伴う自然増や安定財源が確保できていない既存の社会保障費への対応(7・0兆円)などに充て、消費税収の社会保障財源化を行うと説明する。

 消費税でまかなう理由について、税収が比較的安定していること、働く世代など特定の人たちに負担が集中することなく、社会保障の支出を公平に負担できることなどを挙げるが、景気への影響をどう考えるのか。

 深刻なデフレが続く中での増税が与える悪影響は計り知れず、不安は拭えない。「受益と負担」の関係性をはっきりさせたいのであれば、それに見合った制度の見直しはできないものか。政府全体で歳出構造を転換することも求められよう。

 社会保障改革は、自民党政権時代の08年、社会保障政策全般について、給付と負担のあり方を幅広く議論した「社会保障国民会議」がベースになっている。

 08年12月に閣議決定された中期プログラムには、基礎年金の最低保障機能の強化や医療・介護の体制充実、医療、介護、年金、子育てへの消費税充当などが盛り込まれており、15年度に1%、25年度に3~4%程度の消費税率の引き上げが必要になるとしている。

 厚労省は、社会保障改革について「4年がかりの総合的な議論の集大成」と理解を求めるが、国の説明は十分だったのか。岡田克也副総理、小宮山洋子厚労相ら4閣僚が全国を行脚し、住民との対話を行ったが、47都道府県を回り終えたのは12日のことだ。政治生命をかけて行うべきことは、事前の丁寧な説明ではなかったのか。

 与党は、党内政局も絡む消費税増税をめぐる賛否の溝を埋めるという大きな課題を抱え、一方の野党側は政権を追い込み、解散を求める党略だ。法案の行方は依然として前途多難と言わざるを得ないが、政局の駆け引きを優先せず、政策の観点からの論戦を望みたい……。




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