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新しい作用機序の糖尿病薬に期待

2012年8月31日 (金)

 わが国の糖尿病患者は1000万人を突破し、予備軍を入れれば2000万人を上回るまでに増加している。その要因は、インスリン抵抗性になりやすく、欧米人のように太らなくても糖尿病を発症しやすい日本人の体質にあると考えられている。

 糖尿病の合併症としては、大血管障害と細小血管障害がよく知られている。最近では、これに加えて、糖尿病患者は、肝硬変や肝癌など消化器系の癌疾患で死亡しやすいというデータが注目されるようになってきた。

 男性糖尿病患者の死因の20%が肝癌で、非糖尿病の6・6%の3倍以上だ。同様に女性も、糖尿病患者の12・1%に対して、非糖尿病患者は3・5%となっている。

 これらの合併症を防止するには、低血糖や体重増加などの副作用をより少なくした上で、厳格に血糖値をコントロールする薬物治療が必要不可欠となる。

 だが、HbA1cで見ると、インスリン抵抗性改善薬、SU剤、DPP‐4阻害薬のいずれもで、1%程度の低下しか期待できないのが現状だ。

 今年4月から採用されているHbA1cの国際基準値(NGSP)では、糖尿病の診断基準は6・5%以上で、6・9%未満をコントロール目標値と定めている。

 従って、HbA1cが10%以上の重症患者では、これら3剤を併用したとしてもまだコントロール目標値にまで達しないため、さらに付加投与できる新しい作用機序の糖尿病薬の登場が待ち望まれている。

 では、新しい作用機序の糖尿病薬には、どのようなものがあるのか。その一つとして、腎臓におけるグルコースの再吸収を阻害し、尿に糖を排出して体内の血糖値を下げる作用機序を有するSGLT‐2阻害剤が挙げられる。

 現在開発中のSGLT‐2阻害剤は、ルセオグリフロジン(大正製薬)、ダパグリフロジン(アストラゼネカ・ブリストルマイヤーズ)、カナグリフロジン(田辺三菱製薬)、イプラグリフロジン(アステラス製薬)で、4剤ともにPIII段階にある。

 いずれの薬剤の臨床試験でも、血糖コントロールに加えて、低血糖発生の低減や体重増加の抑制効果が報告されている。

 さらに、全てが1日1回投与の薬剤で、食事による影響を受けにくいため、患者自らが飲みやすい時間を決めて服用できるのも大きな特徴だ。

 一方、GPR40選択的作動薬TAK‐875(武田薬品)も見逃せない。TAK‐875は、インスリン産生を活性化するGPR40受容体を刺激して、血糖値が上がった時にだけインスリンを分泌させる優れものだ。

 同剤も現在PIII段階にあり、米国や国内のPII試験において、SU剤と同程度の血糖コントロール改善効果を示し、低血糖発生リスクの低い糖尿病薬となる可能性が示唆されている。

 副作用が少なく、血糖降下作用の強いこれら薬剤が上市され、既存の糖尿病薬と共に重症糖尿病患者の血糖コントロールに寄与する日が早く来ることを期待したい。




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