MRの利便性追求した設計‐CLMやオフラインに対応
SCSKは、MRが営業活動時に利用するコンテンツをデジタル化し、タブレットPCで情報提供を行うモバイル営業支援ソリューション「MR2GO‐DMV」を販売している。MRの意見をもとに操作性や利便性を重視して設計された製品で、既に国内大手を中心に1万4000ユーザーの提供実績を持つ。今後は、MRが収集した情報を分析し、マーケティングに生かすCLM(Closed Loop Marketing)の仕組み構築や、オフラインでも業務アプリケーションを利用できるシステムに強化し、顧客ニーズにワンストップで対応できるサービスを目指す。
同社は、昨年10月に住商情報システムとCSKが合併して誕生したITサービス企業。製薬業界では営業支援のSFAソリューションだけでは差別化が難しくなる中、個別ソリューションを連携させワンストップでサービスを提供できる「e‐ファーマソリューション」の展開に乗り出している。産業システム事業部門産業システム営業本部製造システム第2営業部長の本間智尚氏は、「製薬業界向けシステムに参入して15年、ようやくワンストップサービスの領域にたどり着いた」と説明する。
その象徴といえる製品が「MR2GO‐DMV」だ。当初、卸の販売実績などをモバイル端末からリアルタイムで確認できる参照系ソリューション「MR2GO‐SCOPE」を先行して提供していた。DMVでは、そこから一歩進め、iPadなどのタブレット端末の大きな画面を利用して、医師へのプレゼンテーション用ツールとして利用できるようにした。
DMVは、MRの利便性や操作性を重視し、利用者ニーズに応じて機能を付加できる設計となっている。従来のSFA・CRMソリューションは、機能過多なシステムであることが多く、MRが日報を入力する上で大きな負担となる場合もあったが、DMVでは、現場MRの意見を聞きながら、より使いやすいシステムにこだわった。
特に「スピード」を意識した細かい工夫が施されている。ミドルウェアには、ゲームソフトで多くの実績があるCRI・ミドルウェアの技術協力を得て、端末操作やデジタル資材のページ切り替え速度を大きく向上させた。また、独自の技術により、再生速度を上げても動画コンテンツの質を維持できる機能も搭載。訪問規制などで医師へのディテーリング時間が短くなる中、迅速な情報提供活動を支援する方向だ。
こうした現場寄りのシステムが、MRにも高く評価されており、大塚製薬や第一三共、アステラス製薬、大日本住友製薬、グラクソ・スミスクラインなど製薬大手を中心に、MR2GOの2製品合計で2万6000ユーザーに提供実績がある。
今後のDMVの機能強化としては、MRが収集した情報を営業戦略につなげるCLMの構築が重要な柱になる。本間氏は、「CLMの仕組みがきちんと構築できれば、スピーディで正確な情報を自動的に蓄積できるため、MRの負荷を下げられる」と説明する。クラウドサービスと組み合わせ、ターゲット医師に対してどのように情報提供を進めていけばいいかを分析・検証し、CLMサービスの高度化を目指す。
さらに、オフラインでアプリケーションを利用できるようにする。MRは、デジタル資材だけでなく、MR2GOの仕組みを利用して自動的にタブレット端末に各種アプリケーション配布を受け、オフラインでも業務アプリケーションを利用できる。実績豊富なシステムインテグレーターとしての強みを生かして、スマートデバイスによる業務アプリケーションプラットフォームとCLMの両面からシステムを強化したい考えだ。
本間氏は、「技能習得に前向きなMRがタブレット端末でつまずくことがないように、利便性や操作性を追求していきたい」と話す。ユーザーの声に耳を傾け、外部ベンダーとの協業を通じて、今後もサービス強化を図っていく方針だ。
SCSK
http://www.scsk.jp/