情報の多チャネル化に照準‐SNSとのシステム連携も模索
ヴィーバジャパンは、マルチチャネル化した情報提供活動に対応するため、CRMとCLMをiPad上に統合させたアプリケーション「iRep」の機能強化を加速させる。戦略パートナーの米ソフトウェア大手「セールスフォースドットコム」の基盤を強みに、他のITベンダーと協業しながら、コールセンターやeディテーリング、ソーシャルネットワークサービス(SNS)とも連携したシステムの構築に取り組む。多面的にディテールのインパクトを高めたい製薬会社に対して、新たなシステムの活用法を訴求し、営業力を底上げする。
同社は、製薬業界向けCRMサービスをグローバルで展開する米ヴィーバシステムズの日本法人として、昨年5月に設立された。12月には「iRep日本テンプレート」をリリースし、この1年間で国内市場向けに2度のバージョンアップを実施。グローバルCRMソリューション「VeevaCRM」の直感的でシンプルな設計を生かしながら日本の特殊要件に対し、医師の訪問管理を簡単に行えるインターフェースや、医師への訪問計画の作成テンプレート、卸の「JD‐NET」対応、市販後調査などの機能を盛り込んだ。今月末にはさらに3度目の日本版強化機能の提供を開始し、OTC、アニマルヘルス向けのソリューションがリリースされる。

左から岡村氏、山崎氏
発売から約1年が経過し、既に日本イーライリリーなど外資系企業2社が導入、それ以外にも導入予定企業もあるなど、順調な滑り出しを見せている。岡村崇社長は、「海外での提供実績はもちろん、MRの操作性など現場に対応したシステムがトリガーになっている。また、システムの拡張性や柔軟性、CLMへの対応力なども評価していただいている」と説明する。導入先企業では、MRが収集した情報からマーケット部門にフィードバックし、新たなデジタル資材作成に結びつけるCLM機能の整備も進みつつある。
今後は、情報提供のマルチチャネル化への対応が大きなテーマになる。戦略パートナーであるセールスフォースドットコムが持つプラットフォームを生かし、専門性の高い外部ベンダーとの協業を進めながら、様々な情報にアクセスできる環境の構築を目指す。既にコールセンターとのシステム連携に着手しており、今後ケアネットなどが手がけるWebポータルを使ったeチャネルとの融合も開始する予定だ。
その先には、SNSも大きなターゲットになる。MRがソーシャルメディアを通じて医師とコミュニケーションを強化していく動きが活発化しており、どうヴィーバのシステムと連動させていくかを模索している。
ディレクタープロダクトマネージメントの山崎奈雄也氏は、「これまでのCRMソリューションは、MRによる情報入力が多い反面、得られる情報が少ないという問題があった。SNSでは、MRが書き込むだけで多くのアウトプットが得られる」と話す。他のベンダーが扱うシステムやサービスと組み合わせ、イノベーションを高め、製薬会社に対して競争力の底上げにつながるシステム活用の提案を行う。
一方、内資系企業に向けたプロモーションも強化していく。8月にはNTTコミュニケーションズのクラウド基盤を利用し、東京データセンターを稼働した。国内でデータを運用することで、安心して使える環境を整備した。
設立当初は、10人前後だった従業員数も、25人にまで拡大した。来年には40~50人体制まで増強していく予定である。岡村氏は、「人材確保が最重要課題になる」と述べ、新規採用に力を入れる考えを示した。
ヴィーバジャパン
http://www.veevasystems.jp/