日本市場向けサービス拡充‐透明性GL対応製品も投入
フランスを本拠とするセジデムグループの「セジデム・リレーションシップ・マネジメント」(セジデム)は、CRMの「Mobile Intelligence」(MI)を基軸に、日本国内でMRの情報提供活動を支援している。今後は、MIの国内向けサービス強化と、医師や医療機関への資金提供情報を可視化するソリューション「AggregateSpend 360」(AGS360)の展開、コールセンターやWebのサービス機能を組み合わせたマルチチャネル型の情報提供も提案していく。欧州・アジアパシフィック地域を統括するステファン・ヤンセンズ氏は、「幅広い分野でサポートできるサービスプロバイダーを目指したい」と話している。
同社は、グローバルでライフサイエンス業界に特化したCRM、コンプライアンス、マーケティング、データ最適化のためのソリューションを提供している。多様性に富んだサービスを提供できるのが強みで、これまで各国で異なる規制や市場環境にも対応した製品を投入してきた。
今年は、日本市場向けの独自サービスを投入し攻勢をかける。CRMのMIについては、市販直後調査や卸積み上げの販売計画などの機能強化を目的とした日本独自のアプリケーションを追加し、来年4月に投入する。ヤンセンズ氏は、「グローバルの標準機能をベースに、日本特有の機能を盛り込みたい」と話す。
さらに、MIに続き、コンプライアンスソリューションも戦略の柱に位置づける。透明性ガイドラインの施行を受け、Web上で医師や医療機関への支払情報の公開が求められるようになり、製薬各社はコンプライアンスに対する取り組みを強化。AGS360は、施設や医師への支払情報を一つのデータに統合し、Web上で管理できるソリューションで、製薬各社が策定した基準に合わせて、医師・施設別に支払情報の報告が行えるようにした。
ヤンセンズ氏は、「われわれは世界で唯一のコンプライアンスソリューションプロバイダーで、顧客自身で自律的に対応できるよう支援したい」と話す。製品供給だけでなく、9月には日立製作所と共同して「ライフサイエンスフォーラム2012」を開催し、海外のコンプライアンス動向や透明性ガイドラインに対応したシステム構築などについて、製薬企業の担当者とディスカッションを行い盛況だった。
同社では、MIとAGS360を組み合わせた「アクショナブルCRM」を推進している。医療機関・医療担当者との金銭授受について支払上限額に近づいた際には、MIの医師別の情報欄で自動的にアラーム表示される。MRは、営業デバイスの「iPad」や「iPhone」を通じて支払情報をリアルタイムに確認でき、次の情報提供に向けた判断材料にできる。
ただ、医師の情報収集が多様化し、もはやMRだけに依存したアプローチでは対応できなくなりつつある。医師だけでなく、他の利害関係者に対する情報提供も求められる中、コミュニケーション手段をどうするべきかを再考する時期を迎えている。
こうした状況を踏まえセジデムでは、グローバルで展開中のコールセンターやWebを活用した営業チャネルを日本国内にも導入し、情報提供のマルチチャネル化を後押しする構想を描く。マーケティング領域でも、セジデムグループの調査会社「セジデム・ストラテジックデータ」との連携を通じて、調査データや分析結果を提供し、製薬企業の事業戦略立案にも役立て、営業・マーケティング分野でサービス提供する競合他社との差別化を狙う。
ヤンセンズ氏は、「長期的なパートナーになって、エンド・トゥ・エンドのサービスを提供したい」と意欲十分だ。