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対面販売で薬剤師職能の発揮を

2013年11月29日 (金)

 一般用医薬品のインターネット販売について、新たなルールが法制化されようとしている。一方で、医療用医薬品についてもネット解禁すべきとの主張が出てきた。こちらも欧米などを例に、なぜ日本では無理なのか、処方箋薬の対面義務化の根拠は何か、必要性は何かなどが、今後さらに争点になってきそうだ。

 医薬品は一般用、医療用を問わず、まずは安心・安全な使用が大前提なのは言うまでもない。地域に密着した総合的な健康情報拠点としての薬局の存在を認め、今後は薬局および薬剤師を活用してセルフメディケーション、在宅医療を推進していこうという戦略は、ぜひ進めてもらいたい。その中で、いかに健康と薬の安全な使用を推進できるかが喫緊の課題である。

 ネット販売をめぐる議論の中で、なぜ対面販売でなくてはならないかの理由を『薬剤師の五感を働かせて購入者の特徴をつかむ必要性があるため』とする厚生労働省サイドの回答に、規制改革推進派は不満のようだ。そこで、この点に関しては日本薬剤師会が会員薬局を対象に行った一般用医薬品の相談対応等に関する調査(2011年度)が参考になろう。

 一般薬(OTC薬)の購入や相談を目的に来局した人のうち、指名されたOTC薬を利用することが不適切と薬剤師が判断したケースでは、半数近く(46・1%)で薬を販売せず、その大半でかかりつけ医などへの受診勧奨が行われていた。また、販売したケースでも約4割(41・6%)が薬を変更していたという。

 本人は自覚症状からOTC薬で対処したいと来局する。あるいは現在使用中の薬を指名買いに来る。店頭でのやりとりや患者の症状から、希望する薬を販売するのは不適切と薬剤師が判断し、受診勧奨した結果、癌など重篤な疾患の初期段階だったりで、その後は完治して事なきを得たケースは数多い。このほか、患者の勝手な思い込みで間違った薬を服用していたり、服薬中の医療用医薬品と成分が一部重複したりといったケースも少なくない。

 まさに薬剤師の五感、専門家の直感と言えるのではないか。患者(患部)の状態を現場で確認することができ、購入者の動作や挙動・においを確認することができる。そして即時に情報や意見のやりとりをすることができる。本人や地域の事情も踏まえて、医師へ受診勧奨をする。近い将来、今以上にIT化が進歩することは想定できるが、現段階ではこれが対面販売の最大のメリットであるのは間違いない。

 来局者の健康相談への対応や医薬品販売時のトリアージ業務、また調剤時や在宅患者訪問時などの際に、患者の状態を適切に観察・把握し、的確な対応を行えるようにするための体系的な研修事業が薬剤師会や業界団体等の連携で始まっている。こうした取り組みも含め、薬剤師職能のさらなる広がりが期待される。




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