熊本県熊本地方で14日午後9時26分頃マグニチュード6.5の地震が発生。九州地方では初めての震度7を観測した。その約1日を経過した16日午前1時25分頃にも同じエリアでマグニチュード7.3(最大震度7)の地震が発生。後の地震を本震とする「2016年熊本地震」では、20日現在では48人の犠牲者が出た。熊本市内に勇壮とそびえていた熊本城は天守閣の瓦や石垣が崩れ落ちた様子がテレビ中継に映し出されるたびに、その震災被害の甚大さを痛感させられる。
14日からこれまでの間に震度5以上の揺れの地震が熊本から大分にかけての広い地域で頻発。震源が別府―島原地溝帯と呼ばれるエリアに拡散している模様で、気象庁も「地震活動の今後の展開は現時点で予測できない」と発表するなど、今後もまだ予断を許さない状況下にある。
そうした中でも被災者に対する支援活動が始まっている。日本薬剤師会は20日から熊本地震の被災者に対する支援活動として、避難者に対する医薬品の供給やJMAT(日本医師会災害医療チーム)の活動に応じた調剤に対応するため、救護所がある避難所に1日当たり薬剤師15人を派遣することを想定し、現地に派遣する薬剤師を全国から募集している。
熊本県薬剤師会では15日に廣田誠介会長を本部長とする災害対策本部を設置。県下会員の被害状況の情報収集に努めている中で、一部地域では停電により、開局できてない薬局もあるようだ。また、同会では熊本県の要請を受け、災害薬事コーディネーターを県対策本部に配置。県下の避難所に対して災害医療支援薬剤師を派遣し、不足する医薬品の把握等に努めている。20日現在では、近隣府県からの応援も合わせ約50人の薬剤師がJMATと連携し、救護所などで災害医療支援を行っている。
今回、災害時における医薬品の調剤など、薬局機能を有した災害対応医薬品供給車両(モバイルファーマシー:MP)が現地で有効活用されているという。救護所など急場凌ぎで作られたような場所での調剤と違い衛生的で、停電などの影響も受けない。MPは、11年3月の東日本大震災で、電気や水が使えないことが、調剤業務の大きな支障になった体験から一部の薬剤師会が導入。既に大分、広島、和歌山の各県薬が保有するMPが現地に到着し、避難所で稼働しているようだ。その被災地では、医薬品以外にも一部保存食、飲料水、消毒剤、携帯用トイレ、子供用紙オムツ、ミルク、ベビーフード、生理用品などが品薄のようだ。
今回の熊本県を中心とした広域の地震活動は、震度5クラスの余震がいまも続いている。そのことによる被災者らの不安は計り知れない。災害支援活動にあたる全てのスタッフの活動により、1日でも早く、被災者が安息の生活を取り戻せることを期待したい。