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後発品メーカーの再編はあるか

2017年09月22日 (金)

 後発品の数量シェア80%時代を見据え、業界団体の日本ジェネリック製薬協会が今年、「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を公表し、自ら業界再編に言及した。かねて数量シェア80%の達成後は、低分子薬の後発品市場は飽和状態を迎え、市場が縮小していく可能性が指摘されてきたが、バイオ医薬品に対応した後続品を開発する余力がなければ、後発品メーカーとしての生き残りは厳しいのは必至の状況である。それだけに業界も自ら大型化・集約化による構造転換の必要性を打ち出し、「再編は必然」との見方も公言されるようになった。

 ビジョンにおいて、国内市場は先細りで展望が開けないとして、後発品メーカーに海外進出を促している。そんな中、大手の日医工が米セージェントを730億円で買収したのに続き、沢井製薬も米アップシャー・スミス・ラボラトリーズを巨額の1175億円で買収するなど、国内後発品メーカーの大型買収劇が相次いだ。いずれも世界最大の米国市場を見据えたもので、日本の後発品メーカーも世界進出する時代が到来したといえる。

 ただ、業界再編は必然の状況であるとしても、実際に進むかどうか。予想されている大型化・集約化のうち、大型化はさらなる買収によって進む可能性は高いが、集約化はなかなか進まないことも考えられる。特に国内で大多数を占める中堅以下の後発品メーカーにとっては、難しい決断を迫られることになるだろう。各メーカーは、製剤や味の工夫、飲みやすさの改良など技術力を生かした特徴ある製品開発や得意領域への特化などを進めている。こうした強みとする技術の獲得目的の再編はあるとしても、合併や統合という形では重複する部門の大がかりなリストラは避けられない。それを決断できるかという問題がある。

 また、後発品メーカーの大株主の多くはオーナーや創業家であるため、大株主の説得が重要なカギになってくる。オーナー企業の難しさは、沢井製薬がキョーリン製薬ホールディングスに買収を提案したものの、断念に追い込まれた事態がよく表している。水面下でも創業家の了解が得られず立ち消えになった案件も少なくないようだ。

 グローバルメーカーが日本にこぞって参入してきたのが約10年前。当時から「後発品メーカーに再編が必要」と言われてきた。それでも、なかなか国内で買収や統合による再編が進まない背景には、こうした事情も色濃く反映されていると考えられる。

 外資系大手の“メガ後発品メーカー”が日本市場を席巻していないことも、特有の市場環境といえる。そう考えると、業界再編の機運は確実に高まっているものの、従来とは違ったパワーゲームと一線を画した新たな再編の形があり得る。日本特有の再編モデルが実現するかどうか。そこが現実的な焦点になってくるのではないか。



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