ヘルスケア関連の商品・サービス提供、ウェブ事業などを手がけるハルメク・ベンチャーズ(東京千代田区)は、自宅で微量の血液と尿を採取し郵送することで、癌、糖尿病などの生活習慣病のリスクチェックができる郵送型検査キット「おうちでドック」を開発し、先月から販売をスタートした。病院で行う腫瘍マーカー検査と生化学検査を、同等の精度で郵送対応化したもので、同社では受診機会が乏しい人、受診のハードルが高い職業の人などを中心に“自宅で受けられる人間ドック”として普及を目指す。
「おうちでドック」は、専業主婦、フリーランス、派遣社員、自営業者、シニア層など、時間や金額などを理由に人間ドックが受けられない人々のリスクチェックを目的として開発した。微量の血液と尿で、乳癌、子宮(体)癌、前立腺癌、大腸癌、胃癌、糖尿病、動脈硬化、脂質代謝異常、腎疾患、肝臓疾患などのリスクをチェックする(検査項目は男性が16、女性が18)
キットは富士フイルムが製造、検査は郵送検診サービスのリージャー(東京中央区)が行う。生体試料は微量であっても病院と同等の精度で実現する(リージャーの特許付き血液検査キットを同社が利用)。尿は精度を保つため、真空状態の採尿管で保管・郵送する。税別販売価格は1万9800円(男性用、女性用共通)
検査結果は2週間以内に郵送されるが、病気別に表示され分かりやすい。希望者全員に医師による電話解説が付いており、これは産休・育休中の医師を組織化して実現した。さらに、癌検査が基準値を超え、かつ癌が確定診断した人には癌の専門医による無料のセカンドオピニオン相談もあるなど、郵送検査ながら手厚いフォローも特徴。
「おうちでドック」は時間と場所を選ばず検査ができ、費用負担も少ないことで、特に働く場所や時間が多様化している現代人の健康をサポートする郵送型検診として注目される。先頃、人材派遣企業や非営利フリーランス支援団体に導入が決まったほか、健康経営を目指す企業や組合等で提携意向を示すところも増えてきたという。また、一般を対象とした販売のほか、ドラッグストアや薬局等とのビジネスパートナーを通じた販売も広げていきたい考え。
ハルメク・ベンチャーズでは「今後は『おうちでドック』の検査結果を踏まえたアフターフォローサービスの開発、例えば血糖値の高い人に対して低血糖の食品を届けるとか、運動プログラムを提案するとか、その人に合ったパーソナルヘルスソリューションを提供できればと思う。さらに、新たな郵送検査シリーズの開発や、検査データを活用したビジネス開発にもつなげたい」(執行役員・ヘルスケア事業部事業責任者の松尾尚英氏)とする。