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薬剤師の実績を問う改定だ

2018年02月16日 (金)

 中央社会保険医療協議会が2018年度診療報酬改定案を加藤勝信厚生労働大臣に答申した。

 調剤報酬では、基準調剤加算の廃止に伴い、新設した「地域支援体制加算」(35点)、薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用を行った薬局を評価する「服用薬剤調整支援料」(125点)などが盛り込まれた。

 基準調剤加算は16年度改定で、調剤基本料1の届け出薬局しか算定できないようにしたが、新たな加算ではしばりをなくした。処方箋集中率が高い門前薬局であっても地域に貢献している薬局は評価するという趣旨なのだろう。

 「かかりつけ薬剤師指導料」は、算定要件を厳格化し、70点から73点に引き上げることになった。同加算をめぐっては、中医協の支払い側委員が、かぜなどで受診した患者から、かかりつけ薬剤師の同意を得ることを問題視し、対象を多剤投与、認知症、高齢者などの服薬管理が難しい人に限定すべきと主張していた。ただ、疾患を限定してしまうと、算定ありきの加算になってしまうことも懸念されるため、対象疾患を絞らず、患者の同意取得をしっかり行うという本来の趣旨を明確化した点は良かったのではないか。

 一方、チェーン薬局には厳しい内容となった。調剤基本料について、特定の医療機関からの処方箋受付回数、集中率の要件を見直し、引き下げの対象範囲を拡大すると共に、敷地内薬局を対象とした「特別調剤基本料」を新設し、10点を設定した。

 特定医療機関からの処方箋が4000回超の場合、集中率にかかわらず基本料2の対象となるが、医療モールのように、薬局のある建物内に複数の医療機関がある場合、全ての診療所の処方箋受け付け回数を合算するようにした。

 基本料2では、同じグループの薬局で集中率が最も高い医療機関が同じなら、同じグループの別の薬局の処方箋も受け付け回数に加えることとし、病院の門前に同じチェーンの店舗を複数出店して集中率を下げるケースにも策を講じた。

 門前薬局の適正化は、昨年発生した偽造医薬品の問題、処方箋付け替え不正請求などもあり、「仕方ない」と見る向きもあるが、個店薬局が「自分たちはしっかりやっている」と暗示をかけてしまうのは危険だ。

 そもそも、個店薬局がある程度地域に根づいて、かかりつけ機能を存分に発揮していれば、ここまで調剤がバッシングされることもなかっただろうし、「累次にわたる改定で調剤報酬を抜本的見直す」との方針は掲げられなかったはずだ。

 今回の改定内容からは、チェーンであれ、個店であれ、「薬剤師個人が何をしたかという実績が重要」とのメッセージが見てとれる。批判を謙虚に受け入れ、一人でも多くの薬剤師が何をすべきかを考え、行動に移すようになることを期待している。



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