今月17日、カナダにおける大麻に関する法律が施行された。どのメディアも報道しているが、国として合法化したのは、ウルグアイに続いて2カ国目で、G7の中では初めてとなる。
目的は、カナダでの大麻(マリファナ)の製造、頒布、販売、所持を管理するために、厳格な法的枠組みを策定し、[1]未成年者による大麻の利用を防止[2]大麻による利益から犯罪者を排除する[3]安全で合法的な大麻を成人が利用できるようにし、公衆の健康と安全を確保する――ことと規定されている。
[1]と[2]は理解できるが、[3]はどうだろうか。有害成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含むにもかかわらず、安全な大麻利用で公衆の健康と安全を確保するのであれば、今まで禁止していたことや、未成年の使用禁止、多くの国で禁止されていることと整合性がとれないのではなかろうか。
法律の内容は、大麻使用の管理として、州法が定めるところに基づいて、18歳以上(もしくは19歳以上)の者は合法的に30gまで大麻を所持したり成人と共有したりすることができるものとする。また、未成年者の保護としては、18歳未満の者に対して大麻を販売したり提供した者は、懲役14年以下の罰則が科され、販売場所や使用禁止場所等の細則は州法で規定される。注意事項として、大麻のカナダ国外への持ち出し、国内への持ち込みは、同法施行後も引き続き違法としている。
日本では、薬物濫用に対して大麻取締法のほか、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法、あへん法、毒物及び劇物取締法、薬機法によって厳しく取り締まりが行われている。警察庁の統計を見ると、2015年の薬物関連事犯数は、覚醒剤がダントツで検挙件数1万5980件(検挙人数1万1022人)、次いで大麻が2771件(2101人)である。
厚生労働省は、増加を続ける大麻事犯に危機感を抱いて、ホームページで「今、大麻が危ない!」をアップして注意喚起している。このような中、カナダにおいて合法化されたわけだが、日本はいかに対応するのだろうか。
在バンクーバー日本国総領事館は、公式の注意喚起を公表している。カナダでは所持・使用が合法化されたが、「日本の大麻取締法において、大麻の所持・譲渡(購入含む)等については違法とされ処罰の対象になっている。この規定は海外において行われた場合でも適用されることがあるので、在留邦人や旅行客の皆さんは、日本の法律を遵守の上、日本国外であっても大麻に手を出さないよう注意願う」としているが、お願いの域を出ないのは仕方ないかもしれない。
既に国外のいくつかの都市では、合法化されているのも現実である。今後、日本へ影響があるのか、推移を注視していく必要がある。