薬機法の見直しを議論している厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会での議論が大詰めを迎えている。
薬局を機能別に「高度薬学管理」「かかりつけ」「調剤のみ」に分類することや、「薬局開設者の責務の明確化」を法律上、規定すること、医薬品の添付文書情報を電子化する方向性などが示されている。
その中で注目したいのは、薬剤師が実施すべき事項として「服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を実施する」ことを法律上、義務づける方向性が固まったことだ。
恐らく、継続的な関与が必要とされる薬を服用する患者を対象とし、予め決めておいた日時に電話などで副作用の確認や薬学的知見に基づく指導を行うことなどが想定される。
既に、医師と薬局薬剤師が協働する「プロトコールに基づく薬物治療管理」(PBPM)を実践しているケースでは、達成されているとみることができる。ただ、懸念されるのは、薬局薬剤師が患者宅に電話して通り一遍の対応をして終わるというケースだ。
昨年12月の中央社会保険医療協議会の特別調査では、薬剤師1人当たりのかかりつけ薬剤師指導料の算定回数が100回を超えた薬局が約3%に上ったことが問題視された。
当時、調剤基本料2、3の特例点数に該当し、基本料が低くなる薬局は、同指導料を薬剤師1人当たり月100回以上算定するなどの要件をクリアすれば、調剤基本料1を算定できることになっていたからだ。
当然、特例点数の除外要件は、このまま廃止されることになったが、加算取得のためだったり、義務だからという理由で取り組むと、一過性で終わってしまう。業務の質向上につながるものにしたい。
今後、厚労省に対して、現場サイドから「どういった患者にどのような指導をしたら良いか具体的な取り組み事例を示してほしい」との声が上がってくることが想定される。
全ての患者とは言わないまでも、副作用が発現しやすい薬が処方されたケースや、処方変更を行ったばかりというタイミングでは、当然、薬剤師の関与が必要になるだろう。
しかし、フォローアップが必要な患者をどう選び、どのような指導を行うのかを考えるのは、現場の薬剤師にほかならない。適正な薬物療法のために必要なこと、役立つことを患者目線で考えるのが職能団体のあるべき姿だ。
制度部会の議論を聞いていても、依然として薬剤師・薬局に対するバッシングは根強いと感じる場面は多かった。まずは、真摯な取り組みが求められる。
さらに、薬剤師が関与することでアドヒアランスが向上するというデータが蓄積され、「調剤技術料1.8兆円」に見合う価値を示すきっかけになることを期待したい。